#文藝春秋 屋外でマスク不要 #コロナ 対策
「文藝春秋 長田 昭二」様より
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「屋外でのマスクは不要」間違いだらけのコロナ対策を専門家が指摘する!
文藝春秋 2020年11月号
新型コロナウイルスの感染拡大から8カ月。
この未知のウイルスに関する情報が何もないところから始まった闘いも、ようやくおぼろげながら敵の姿が見えはじめ、対策のやり方も徐々にではあるが、スリム化していい時期が来ている。
ところが、当初の「憶測」で構築した感染対策に今も縛られて、自らの行動を雁字搦めにしている人や組織もあるだろう。
そこで、感染症対策コンサルタントの堀成美氏に、8カ月が過ぎて見えてきた、最新の知見に基づく対策「5カ条」を指南してもらった。
第1条 屋外でのマスクは不要
自宅を一歩出ると、マスクをしていない人を探すのが困難なほど、日本ではほぼすべての人がマスクを着けて外出している。
しかし意外なことに堀氏本人は、屋外を歩く時はよほど込み合う場所でもない限りマスクはしないという。
「マスクは唾などの飛沫が飛ぶのを防ぐのが目的であって、喋らなければ唾も飛ばない。普通に呼吸しているだけならウイルスは飛んで行かないのです」
そんな堀氏も、電車の中ではマスクをするという。
理由は「突然くしゃみや咳が出たときに“咳エチケット”が間に合わない危険性があるから」。
基本的に、「換気ができている環境で、喋らなければ、たとえ密になっていても問題はない」と語る堀氏は、過敏症やアレルギーなどでマスクを着けられない人もいるのに、マスクをしていないだけで白い目で見る風潮こそ改めるべき、と指摘する。
第2条 会話はマスクを着けて
「3密」や「ソーシャルディスタンス」などの新語は、流行語大賞を獲るのだろうか。ただ、堀氏はこれらの言葉の使用を避けている。
「感染リスクのある行為とは、“1メートル以内でのマスクをしない会話”であって、それが明確になった以上、『3密』なんてあやふやな言葉を使う必要がないのです」
「そもそも、1メートル以内で会話をするなんて、キスしてもいい人くらいのもの。そうじゃない人がこの距離の範囲に入ってきて話しかけられたら普通は逃げ出しますよ」
ちなみに、図書館のように「喋らないことが前提の場所」であれば、マスクはしなくて構わない、フェイスシールドは目からの感染を防ぐものであって、マスクの代用品ではない――など、街で見かける「やり過ぎ感染対策」は意外に多いとか。
第3条 会食ははす向かいに座る
「居酒屋とフランス料理だったら、フランス料理のほうが感染リスクは低い」
と堀氏。
その理由は次の通り。
・居酒屋はテーブルが小さいから向かいの席の人との距離が近いが、フランス料理はテーブルが大きいので距離が取れる
・居酒屋はガヤガヤしているので声が大きくなり、飛沫が飛びやすいが、フランス料理店は静かなのでそのリスクが低い
・居酒屋のメニューは大皿に盛りつけられているので各自で取り分けなければならないが、フランス料理のコースなら最初から個別に出てくる
――など。
しかし、そんな居酒屋でも対面の人とははす向かいに座って、大皿料理は最初に取り分けておく、乾杯はグラスを上げるだけ、そして喋るときは扇子で口元を隠すだけで、感染リスクは大幅に下げられるという。
ちなみに食事中に口元を隠す扇子のことを、堀氏は「飛ばしま扇子」と呼んでいるとか……。
第4条 消毒は指先を念入りに
会社でもホテルでもショッピングセンターでも、今では入り口に必ず置かれている消毒液。あれの使い方を間違えている人が非常に多い、と堀氏は指摘する。
「テレビなどで『指の股の部分が危険です』などと言っているのを聞いて、指の股ばかりゴシゴシ消毒液を塗り込んでいる人がいますが、そんな人に限って指先の消毒をおろそかにしているんです。
ウイルスの感染の大半が指先を媒介にしています。指の股をきれいにするのは悪いことではないけれど、それ以上に指先の清潔を重視すべきです」
堀氏が勧める消毒法は次の通り。
(1)手のひらを少しくぼめて消毒液を溜める
(2)溜めた消毒液に反対側の手の指先を十分に浸ける
(3)残った消毒液を手の全域に塗り込む
これを左右両手で行うのが正解。指の股が気になる人は(3)のところで念入りにやってください。
第5条 公共施設での注意
プールや体育館などの公共施設に感染対策のアドバイスを依頼されることも多い堀氏。
そこでよく見かけるのが、更衣室のロッカーを2つか3つ飛ばしにして、実質的に利用者数に制限をかけているところだという。
「密接になることを恐れてのことなのですが、この距離でマスクをしないで会話をすれば危険ですが、そうでなければ全部のロッカーを使えるようにして大丈夫です。
同じことは、東京都知事選挙の時の記入台でも見かけました。
でも考えればわかるように、投票用紙に候補者の名前を書く時に、隣の人と会話をする人はいないのだから、間をあける必要などないのです。
ちなみに、投票用紙に記入する際の鉛筆は、一人が使うたびに消毒するべきか、と質問を受けたことがありますが、投票所の入り口で手の消毒をすることが前提なら、鉛筆を毎回拭く必要はありません」
新型コロナに関する知見を常にアップデートし、対策をスリム化していくことで、より効率のいい感染予防を講じることができる。
もう、その段階に来ているのだろう。
「文藝春秋」11月号及び「文藝春秋digital」掲載の「やり過ぎだらけの感染対策」では、古い常識や誤解によってもたらされる医療現場での混乱の実態などについても、堀氏が詳しく解説している。