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坂本雅彦ホームページ

令和三年度政府予算案について

2021.02.11 06:41

今日は木曜日、でも祝日。祝日だけど木曜日です。なので、休みつつお仕事をすることにしました。朝から愛犬をトリミングに連れて行き、昼には迎えに行って連れて帰り、午後からは書斎に籠ってお仕事をするという塩梅です。今、思えば、午前に働いて午後から休みたかった・・・。

さて、昨日、参議院浜田聡議員のお手伝いに上がり、下記の件を考証しました。

令和三年度の予算案を考察します。

令和三年度の予算案を見る際には令和二年度第三次補正予算も考察した方が良いと思います。平成三年度予算と時期的に並行して措置されますので一体化していると考えても差し支えないと思います。

下記資料:財務省令和2年補正予算第3号

 https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/hosei021215a.pdf

まず、①新型コロナウイルス感染症の拡大防止策に4.3兆円を計上しています。具体的用途は地方へ交付金が1.5兆円、医療体制への支援が1.6兆円、検査・ワクチン接種体制の整備に0.8兆円となっています。そして、②コロナ終息後の諸々の対策に11.6兆円を計上しています。脱炭素の技術開発支援に2兆円、中小企業の資金繰り対策に3.2兆円、GO TO トラベル事業に1兆円です。③最後に防災関係に3.1兆円を計上しています。公共事業としての国土強靭化に1.6兆円、災害からの復旧に0.6兆円を計上しています。

上記の通り、補正予算の追加の歳出は約22兆円となります。

コロナ対策の4.3兆円と公共事業での経済の下支えが期待できる1.6兆円は必要なものと察しますが、脱炭素の取り組みは国際的な環境問題に対する取り組みの一環であり、2兆円もの巨額を補正予算にて措置する必要があるのかどうか疑問に思いました。また、GO TO トラベルに対する1兆円の予算措置ですが、私はこのタイミングで予算措置をする必要性はないと思っています。先日、銀座で複数人の国会議員が深夜に及ぶ酒席を設けて非難されました。国民の多くは旅行や外食を制限されることで我慢を強いられています。その最中に非常事態宣言を発した国会議員がそのような行為に及んだことを我慢を強いられている国民が不満を抱き非難しているわけです。つまり、国民の多くが旅行や外食を制限されることでストレスを感じているのかもしれません。そうであるならば、制限が明けると自ずと旅行や外食に多くの国民が繰り出し活況を取り戻すことが予想されます。よって、政府がそれらに偏った大きな予算をこのタイミングで付ける必要があるのか疑問に思います。GO TOトラベルやGO TOイートは市場の状況を見つつ後々の検討課題としても構わないことだと思う。東日本大震災が発生した10年前は私の経営するホテルや結婚式場では受注の多くがキャンセルや延期となりました。しかし、震災の被害が色濃く残る社会状況であっても国民の心情は徐々に前向きなものとなり、翌年の結婚式は東日本大震災の以前にも増して受注も列席者の人数も大きく増えました。婚礼のみならず宴会も大きく業績を伸ばしました。予期せぬものに襲われた際、人々は日を追って絆の大切さに気付き、前向きな心情と行動に向かうことが多いのだと感じました。また、自分がしたくても出来ない制限された状況が続くことでその需要に対する想いは強くなり、時期が到来したら概ね欲求を満たそうと行動する人が多いのも事実です。GO TOは需要の喚起では足りず、需要を掘り起こす必要に迫られた際に検討すれば足るように思います。

さて、続いて令和3年度予算案を見てみます。

下記資料:財務省令和3年度政府案予算フレーム https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2021/seifuan2021/index.html

歳出は6兆円ほど増しており税収も6兆円ほど減収すると想定しているので自ずと11兆円以上の公債金が必要となります。40%も公債に依存する予算ではありますが経済がマイナス成長であった翌年ということもあり避けられないとことと思います。

さて、予算案について分野別にポイントをあげます。

1.社会保障

*職員の処遇改善に配慮して介護報酬が改定されて196億円予算増加

*毎年薬価改定を実施し国民負担と同時に国家予算をマイナス1000億円

*後期高齢者医療の自己負担割合の見直しにより少子化対策の一環として保育の受け皿整備に602億円

2.教育・科学技術

*デジタル教科書に22億円(2025年にデジタル化100%を目指す)

*GIGAスクール構想(高速ネットワークの環境と一人一台のPCの整備

3.活力ある地方創り

*国の税収減が見込まれる中で地方交付税交付金17.4兆円(0.9億円プラス)

4.中小企業支援

*大企業の子会社や課税所得が一定以上の者に対して補助金の対象外、大企業と同率の補助率

5.防衛

*重要度が低下した装備品の運用停止、長期契約の活用によりマイナス4168億円

防衛に関しては令和2年第三次補正予算で3000億円以上を計上していますので事実上のマイナス予算は1000億円ほどとなるはずです。

省庁別に少し見てみます。

*復興庁は1兆4千億円から6331億円に減少しています。多くは原子力災害に係る費用で中間貯蔵施設の整備など放射能汚染廃棄物の処理に関する費用が大きいです。

 復興庁予算:https://www.reconstruction.go.jp/topics/post-72.html

*総務省は横ばいの概算要求で約16兆8千億円です。地方の一般財源の確保に関する予算がほとんどです。菅内閣ではデジタル化やマイナンバーカードの普及に注力しています。

 総務省予算:https://www.soumu.go.jp/menu_yosan/yosan_r2_00001.html

*法務省は478億円増額の7887億円を概算要求しています。オリパラの開催に関する出入国手続きの強化、デジタルガバメントの推進、テレワークの推進などに注力することになっています。また、インターネット上の人権侵害を解消する活動も強化するとしています。

 法務省予算:http://www.moj.go.jp/kaikei/bunsho/kaikei02_00064.html

*外務省は970億円の増額となる8090億円となります。オリパラの実現とインバウンド再開に向けた取り組みが強化されます。ポストコロナに向けた各国への宣伝を予定しています。危機的状況での外交ルート作りなども重要としています。

 外務省予算:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100128364.pdf

*財務省は2兆円の増額で27.3兆円の予算となっています。そのほとんどが国債費となります。

 財務省予算:https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/budget/fy2021/20201221.html

*農林水産省は4625億円の増額となる2兆7734億円となります。コロナ禍での生産基盤のセーフティネットの構築、輸出力の強化、家畜伝染病の発生予防、森林や水産資源の適切な管理に注力することになっています。

 農水省予算:https://www.maff.go.jp/j/budget/pdf/r3kettei_juten.pdf

*文部科学省は6058億円増額で5兆9118億円の要求となっています。コロナ下での学習・スポーツ・文化・研究活動の継続的な支援に力を入れています。また、科学技術関係としてSociety5.0の実現を目指しイノベーションの創出と基盤の強化を図るとしています。

 文科省予算:https://www.mext.go.jp/content/20201218-mxt_kaikesou01-000010167_1.pdf

*厚生労働省は令和2年度と同額で32.9兆円となっています。ウィズコロナに対応した保健・医療・介護の構築、雇用就業機会の創出、テレワークの定着、生活困窮者への支援などに注力するとしています。

 厚労省予算:https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/21syokan/dl/01-02.pdf

*経済産業省は2千億円の増額となる1.4兆円となっています。経済と安全保障の一体の政策の推進や福島の復興費用1412億円も含まれます。

 経産省予算:https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2021/index.html

*国土交通省は5兆9617億円の要求となっています。大規模自然災害からの復旧費用、国土強靭化に関する費用、戦略的海上保安体制の構築に係る費用を計上しています。バリアフリー社会、社会資本整備総合交付金も含まれます。

 国交省予算:https://www.mlit.go.jp/page/content/001383017.pdf

*防衛省は4000億円を増額し5.4兆円となっています。人材確保の費用が増しているようです。もちろん、兵器の増強にも多くの費用が掛かります。

 防衛省予算:https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/2021/yosan_20200930.pdf

上記のように各省庁がコロナ対策に重点を置いており軒並み増額の予算となっています。コロナの状況は先行きが確定しておらず明確な金額が示せないことも理解できます。よって、事業の進捗状況では先々に歳出がさらに膨らむ可能性があると思います。

下記資料:財務省、我が国の財務状況https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2021/seifuan2021/04.pdf

財務省は殊更に日本の財務状況の悪化を示します。公債や公債の利払いを含めて政府と日銀のB/Sを連結することで実質的な財務状況を掴むことが出来ます。実質的な対GDPは上記とは違い100%強だと考えます。自国通貨建ての公債の発行しているわけですし、政府機関や自国民の公債保有がほとんどであることからギリシャやイタリアと同様に考える必要はありません。

下記資料:財務省、我が国の財政状況

https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2021/seifuan2021/04.pdf

公債の発行残高ばかりを気にする必要はないと思っています。令和2年度は大きく歳出が増えましたが自国建て通貨による発行で内需に向けての用途となっていることから近々に問題になることはありません。

財務省は予算の措置ごとに財政の危機を煽りますが私は日本政府の財務状況に突出した問題はないと思っています。財政状況が深刻な危機に面していることを強調することで財務省が増税を目論んでいるのならば由々しき事だと思います。

令和2年の計上した11兆円にも上る予備費を財政規律の弛緩だと批判する向きもありますが、持続化給付金や雇用調整助成金は不足が生じていることから考えると必要な予算規模であったと思います。省庁の概算要求に概ね答えてきた政府の資金的なハンドリングを財務省が批判的、危機的に認識することには違和感を感じます。

令和3年度の政府予算もコロナ禍の中での組成であり、補正にて膨らむ可能性を秘めていると思います。それも許容した上でコロナ禍の早期の終息を図らないといけないと思います。麻生大臣は2025年から2027年に先送りしているプライマリーバランスの黒字化に対しても「達成しないといけないこと」だと棚上げしない姿勢を見せている。決して歳出に対して弛緩しているということには当たりません。

繰り返しますが、国債を国内でファイナンスしている日本においては政府の借金の拡大は国民の資産の増大なのだと考えます。国民の貯蓄で財政赤字を賄っていのですからギリシャのような金利高騰やインフレは起きないはずです。日本はハイパーインフレにも円安にもならず物価は安定し失業率も低く一定の暮らしを維持しているという何にも代え難い事実があります。決して財政規律を無視しても構わないとは言いませんが、財政破綻の危機を唱えることも違うように思います。

最後までご拝読賜りありがとうございました。