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• 発売日: 2012/4/10
• ページ数: 235 ページ
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電子ブック週刊 マンガ世界の偉人 2012年 4/22号 [分冊百科]無料ダウンロード - 内容紹介 【マンガ】ナイチンゲール桑原 晶【物語のはじめに】看護に人生をささげた天使!【人物ガイド】苦しむ人々のために働きたい!優しいだけではない、戦い続けた女性!【もっと知りたい】「国際赤十字」とアンリ・デュナン付録藤原カムイの「世界史人物カード」ゲームで学べる!毎号9枚 全450枚

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「朝日新聞出版社週刊マンガ世界の偉人」の12巻目として、待望のナイチンゲール編登場。巻頭マンガの「メリーノ!」の、牧場家全員が風邪を引いたといところから、本書はスタートする。しかも、久々のママ上様登場だ。「チンといっても下ネタじゃない」というコマは、子供向けらしい科白としてクスリとしてくる。いよいよ本題のナイチンゲールの生涯を見ていくページへと移っていく。「物語のはじめに」で、いわゆる「ナイチンゲール病棟」と、ナイチンゲール本人のものと思われるサイン付の「看護覚え書き」の写真があるのが、子供対象のマンガムックとしては、既存の数多の子供対象のナイチンゲール伝記と比較してなかなか興味深いところを突いていると感心してしまう。肝心となる伝記マンガ部のナイチンゲールは、思った以上に結構可愛く描かれてたりする。しかし、全般的にナイチンゲールの視線は終始かなり鋭いものであり、そしてそれがまたひときわ美しく、そして凛々しく描かれているのに功を奏している。本書は全て「看護師」という言葉で統一されている。20代の時、家族に看護師になりたいことを打ち明けて家族の猛反発を受けるシーンでは、母親と姉は登場するものの、史実では父親っ子だったナイチンゲールながら結局最後まで父親は登場せずじまいなのは少々残念だ。しかも、10代の時の初めての「神の思し召しの声」のエピソードも省略されているのも、ページ上の都合はあったにせよ、ナイチンゲールの生涯を語る上では欠かせないものなので、残念な気が否めない。しかし、戦地へ向かうシーンのコマの中に「これは神が与えた使命」という言葉が登場するので、思し召しエピソードを補ってるとも言えようか。野戦病院での看護も「わたしたちの戦い」という言葉が出たり、「戦う天使」の言葉も登場するので、その辺りは忠実と見れる趣がある。一方で、「フローレンスの細い体には大変な負担がかかっていました」とはあるものの、戦時中のナイチンゲール自身の過労と病気ダウンには触れずじまいだ。戦後は、いきなり終章として看護学校創設のストーリーに入っており、戦後しばらくの間までナイチンゲール自身にとって最大にして唯一の人生テーマでもあった英陸軍とインドの衛生改革には触れずじまいなのは、ページ都合上のものだと容易に推測できる。一方で、戦後はベッド生活がちながら、ベッド上でペンを走らせていたことはちゃんと描かれている。「人物ガイド」のページでは、一生独身だったナイチンゲールの恋バナが、婚約者のミルンズの肖像付でさらりと触れられているのはいい。このページでの最大の見ものは、既存の伝記には恐らく今まで掲載されたことがないと思われるナイチンゲール38歳の写真が掲載されていることだ。木陰の噴水の縁もしくは塀に腰かけて書物に目を通している「超」がつくほど長いロングスカートを身に纏っているナイチンゲールの姿は、客観的に見て、「仕事の鬼」だったナイチンゲールの貴重なオフの姿と、彼女の「女性」を意識させてくれる写真だ。「もっと知りたい」では、「「国際赤十字」とアンリ・デュナン」として赤十字が紹介されている。デュナンの簡単な生涯の他、赤十字国際委員会が送るナイチンゲール記章にも触れられており、最多表彰者が日本人であることの記載もある。「メリーノ!」の最後では、メリーノの看病のおかげですっかり回復した牧場家だが、今度はメリーノ自身が風邪を引き、メリーノの鼻水が、読者の側からは「見もの」なのには笑える。最後のオチは、ママ上様が登場し男だったらたまらないパターンで締めくくられている。「ナイチンゲールをもっと知ろう」で登場する参考図書には、1「ポプラポケット文庫子どもの伝記11ナイチンゲール」（ポプラ社）・2「学習まんが人物館ナイチンゲール」（小学館）・3「国際紛争や災害の被害者を救う【国際赤十字】」（ほるぷ出版）の3冊が紹介されている。特に1と2は、子供向けナイチンゲール伝記としておなじみのロングセラーなので、既に目を通したことのある人も少なくないだろう。最巻末の「藤原カムイの世界史人物カード12」では、この巻では9人中8人が中国史・イスラム史の人物で占められている。中国史が6人・イスラム史が2人・西洋史が1人である（しかも西洋史人物もイスラム史と深い関係のある人物）。本書は一応は「子供向け」ながらも、描かれているナイチンゲールの美しくかつ凛々しい姿のマンガから、大人でも何度も目を通して楽しめる、ナイチンゲール入門書としてはなかなかよいものに仕上がっていると断言しよう。