新型コロナウイルスのスパイク (S)タンパク質とは?
https://crisp-bio.blog.jp/archives/23213830.html 【[20210120更新] [解説] 新型コロナウイルスのスパイク (S)タンパク質とは?】 より
2021年01月20日
2021-01-20 新型コロナウイルスが微粒子として拡散し、ヒト細胞へ付着・侵入する過程のアニメーションを以下に引用 [出典] YouTube CanalDivulgación Chennel "SARS-CoV-2 (Covid-19) Infection Process" 2020-05-06. 2m 20s (音量に注意) https://youtu.be/SvA1s5S9rQ0]
[adhesion & recognition] 新型コロナウイルスは、ヒト細胞表面に付着後 (adhesion)ヒト細胞受容体ACE2を認識すると (recognition)、そのS1サブユニット上の受容体結合ドメイン (RBD)を介して、ACE2に結合する。
[cut] ヒト細胞内在のタンパク質分解酵素 (TMPRSS2とフーリン)によって、S1サブユニットがS2サブユニットから切り離される (cut)。
[fusion] S2サブユニットを介して、ウイルス細胞膜がヒト細胞膜に融合する。
ウイルスのゲノム (一本鎖RNA)がヒト細胞内へ侵入する。
[viIrus controls the celuular machinery] ヒト細胞の機能を利用して一本鎖RNAの情報をもとに一連のウイルスタンパク質を合成し、また、一本鎖RNAを複製する。
[packaging of new viruses] 一連のタンパク質と一本鎖RNAからヒト細胞内でウイルス粒子を再構成し、周囲の細胞へと感染していく。
2020-12-09 SARSコロナウイルス全体の細密画へのリンクを追加: crisp_bio 2020-12-09 "David S. Goodsellが描いたSARSウイルスの精密色彩画"
2020-12-07 マックスプランク研究所がYouTubeから公開した「ウイルス膜に固定された4つのスパイク糖タンパク質の2.5μSの全原子分子動力学シミュレーションのビデオ」と「スパイク糖タンパク質のクライオ電顕トモグラフィーのビデオ (0:30)」, および原著論文を以下に引用
[論文] "In situ structural analysis of SARS-CoV-2 spike reveals flexibility mediated by three hinges" Turoňová, B, Sikora M, Schürmann C [..] Hummer G, Locker JK, Beck M. Science 2020-10-09. https://doi.org/10.1126/science.abd52232020-12-07 14.21.59
スパイクタンパク質は、ウイルス粒子表面から20~40個突き出している。スパイクタンパク質はまた、内部にグリコシル化によって保護されているヒンジを3ヶ所に帯びていることでフレキシブルに振る舞うことができる。多数のスパイクタンパク質が協働して, ウイルス粒子からは平面に見えるヒト細胞表面を走査して受容体のACE2と結合していくと考えられる [論文 Fig. 5 - G, H 引用右図参照]