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抗ウイルス薬

2018.02.13 04:18

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%97%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E8%96%AC 【抗ウイルス薬】より抜粋

抗ウイルス薬(こうウイルスやく、英: Antiviral drug)は、ウイルス感染症の治療薬。抗ウイルス薬による治療薬の副作用として、抗体価が上昇せず(獲得免疫能が低下)再感染率が増加することが挙げられる[1]。

ウイルス は、他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある。一般的には、ウイルスは生物ではないとされる。

暗黒期(あんこくき、英: eclipse period)とは、細胞にウイルスを接種後、感染細胞内にウイルス粒子が検出できなくなる期間。エクリプス、陰性期、暗黒現象とも呼ばれる。暗黒期においてはウイルス粒子は脱殻を行い、ウイルスタンパク質や核酸の合成を行う。子孫ウイルスの出現により再びウイルス粒子の検出が可能となる。感染後に子孫ウイルスが細胞外に放出されるまでの期間を潜伏期と呼び、細胞膜表面で成熟して放出されるウイルスの暗黒期は潜伏期と一致する。分裂により増殖する生物ではその形態が観察できなくなる期間はなく、暗黒期の存在はウイルスをリケッチアやクラミジアと分ける大きな特徴である。

薬理

ウイルスが細胞に寄生し、暗黒期を経て新しいウイルス粒子を形成し、宿主細胞を脱出するサイクルの一部プロセスを阻害することで、あるいは人体の抗ウイルス免疫機構に介入することで、ウイルス性疾患の治療を行う療法である。ウイルスは自身の細胞を有しないため、細菌など病原体の細胞を直接破壊する抗生物質療法と、薬理学的性格が大きく異なる。

抗生物質はスペクトラムによるとはいえ、複数菌種に対する抗菌活性を持つことが多い。これは、抗生物質が標的とする細菌は、真核生物である人体の細胞と大きく異なる一定の分子生物学的な共有形質を有し、これを利用して細菌細胞の生理的過程を阻害し、細菌細胞を死に至らしめているからである。

しかしウイルスは進化の系譜が細胞を有する生物とは著しく異なり、個々のウイルスの分子生物学的な形質の多様性は著しく高い。そのため、それぞれの生活環、転写因子が異なっており、それぞれに対する治療薬が必要となる。


https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210207-00221408/ 【新型コロナ変異株と再感染リスク、ワクチン効果との関係 現時点で分かっていること】 より

神奈川県で南アフリカ変異株501Y.V2の感染例が報告されました。

この南アフリカ変異株やブラジル変異株では再感染リスク増加やワクチン効果低下が懸念されています。

現時点での情報について整理しました。

集団免疫を達成していたブラジルのマナウスで再流行

マナウスでの新型コロナ流行状況 https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)00183-5より

ブラジルは世界で3番目に新型コロナ感染者の多い国であり、2021年2月7日時点で950万人が感染したと報告されています。

中でもアマゾン流域にあるマナウスは非常に規模の大きい流行を経験し、10月の時点でマナウスの住民の76%が新型コロナに感染したという推計が発表されていました。

この76%という数値はその地域での流行を防ぐための理論上の集団免疫を達成していたと考えられていましたが、そのマナウスで2回目の大規模な流行が起こっています。

ブラジルのマナウスと言えば、日本では2021年1月10日にブラジルのマナウスからの渡航者4名から変異株P.1が検出されたと報告されました。

このP.1という変異株はマナウスで急速に広がっており、12月中旬から下旬にかけてマナウスの医療機関を受診した31例患者から検出された新型コロナウイルスのうち13(42%)がこのブラジル変異株P.1であったことが確認されており、2021年1月にはこの比率が85.4%にまで上昇しているとのことです。

Lancet誌の論説では集団免疫を達成していたはずのマナウスで再流行が起こった原因として、

・第1波でのマナウス住民の感染率が高く見積もられていたため

・第1波から9ヶ月経過しており新型コロナの免疫が減衰しているため

・変異株P.1は過去の感染による免疫に抵抗性を持つため

・変異株P.1は過去の新型コロナウイルスよりも強い感染性を持つため

という4つの仮説を示していますが、このうち2つが変異株が原因ではないかというものです。

ブラジル変異株は、E484Kという変異を持っています。

このE484Kという変異は、新型コロナウイルスに対するモノクローナル抗体や回復者血漿に対する逃避変異(ウイルスが抗体に中和されることから逃げるための変異)として報告されており、実際に新型コロナウイルスを模倣した実験用のウイルスにE484K変異が起こると、既存の新型コロナウイルスから回復した人が持つ中和抗体の活性が10分の1以下になると報告されています。

新型コロナウイルスに対する免疫は抗体による液性免疫とT細胞による細胞性免疫が関わっていますので、中和抗体の活性の低下がそのまま再感染のリスクやワクチンの効果低下となるわけではありませんが、実際に第1波に従来の新型コロナウイルスに感染した29歳の女性が、12月下旬に2回目に新型コロナに感染し、そのウイルスが変異株P.1であったと報告されています。

ブラジル変異株再感染事例の経過(SARS-CoV-2 reinfection by the new Variant of Concern (VOC) P.1 in Amazonas, Brazil)

この報告をもって「ブラジルのマナウスで起こっている再流行が全て再感染である」とは言えませんが、ブラジルでは他の地域でもこのE484K変異を持つウイルスによって再感染が起こっている事例が複数(1, 2)報告されており、このE484K変異と再感染のリスクとの関連が懸念されています。

南アフリカ変異株501Y.V2ではワクチンの有効性低下?

E484K変異が免疫からの「逃避変異」だとすると、ワクチンの効果についても懸念が出てきます。

先週、ジョンソン・エンド・ジョンソンが、同社の開発する新型コロナワクチンの第3相試験の結果について「全体の発症予防効果が66%、重症化予防効果が85%以上、さらに入院や死亡を100%防いだ」と発表しました。

1回接種のワクチンでこれだけの効果が示された、という結果自体はとても喜ばしいものだと考えますが、気になるのが南アフリカ共和国でのワクチン効果です。

アメリカ合衆国では発症予防効果が72%だったのに対し、南アフリカ共和国では57%であったとのことです。

南アフリカ共和国では501Y.V2という変異株が拡大しており、この変異株もブラジル変異株P.1と同様にE484K変異を持っています。

またNovavax社の新型コロナワクチンの第3相試験の中間解析でも、従来の新型コロナウイルスには95.6%の効果を示した一方で、南アフリカ変異株には60%の効果であったとのことです。

ワクチン効果60%というのは決して低いものではありませんが、従来の新型コロナウイルスに対する効果よりも低下していることは憂慮すべきことです。

一部のイギリスの変異株からもE484K変異がみつかる

最初に変異株が問題となったイギリス変異株VOC202012/01は、感染性が56〜75%増加するということが最大の問題でしたが、このVOC202012/01にはE484K変異は含まれていませんでした。

しかし、イギリスの変異株VOC202012/01からも南アフリカ変異株とブラジル変異株と同じE484Kという変異が見つかったと英国保健省が報告されました。

この報告によると、イギリスで遺伝子配列を解析された214,159のウイルスのうち、11のウイルスからE484K変異を持つイギリス変異株が見つかったとのことです。

イギリス変異株もE484K変異を持つようになると、やはり再感染リスクやワクチン効果の低下が懸念されます。

実際にそれを裏付ける実験結果も報告されています。

日本でE484K変異を持つ変異株が広がる可能性は?

WHO situation report、ECDC risk assessment、各文献などを参考に筆者作成

これまでE484K変異を持つ変異種は空港検疫で見つかっていた事例のみでしたが、先日神奈川県で2人の南アフリカ変異株の感染事例が報告されました。

感染力が増加しているイギリス変異株もすでに国内感染事例が出ており大きな問題ですが、それに加えて逃避変異を持つ南アフリカ変異株、ブラジル変異株が国内で拡大すれば、おそらく新型コロナの収束はますます遠くなってしまいます。

変異株にも対応した新型コロナワクチンも秋には利用できるようになるとも言われていますが、すぐに解決する問題ではありません。

現時点で日本国内で南アフリカ変異株、ブラジル変異株が拡大するのを防ぐためには、

・現時点で見つかっている変異株症例の厳格な隔離

・海外からの帰国者の検査体制の強化(全症例で遺伝子配列解析が実施されています)

・外国人の入国規制強化(現在政府は2020年12月28日から外国人の新規入国を中止しています)

などが必要と考えられます。

また私たち一人ひとりができることは、感染対策の徹底です。

・できる限り外出を控える

・屋内ではマスクを装着する

・3密を避ける

・こまめに手洗いをする

といった基本的な感染対策をより一層遵守するようにしましょう。