「10月はハロウィーンの月」ジョン・アップダイク ナンシー・エコーム・バーカート
こちらは当店ではいつもお薦めさせて頂いている作家、ナンシー・エコーム・バーカートの「10月はハロウィーンの月」です。
この絵本は詩をジョン・アップダイクが書いています。
ナンシー・エコーム・バーカートよりジョン・アップダイクの方が随分と有名だと思うのですが、もしかしたら当店のサイトやinstagramも見て頂いている方々の中ではそうではないかもしれません・・。
20世紀後半のアメリカ文学を代表するひとりと言っても過言ではないでしょう。そのアップダイクによる十二の月それぞれの詩に、バーカートによる絵が付けられ美しい絵本になっています。
一月はこんなふうに始まっています。
冬の日は みじかい。
太陽が 火花のように
まばらに 散らばっている
闇と 闇の あいだに。
一月から始まった詩は二月、三月とだんだんと春を迎えその喜びに溢れる様子を歌い、それから初夏の爽やかさ、晩夏の倦怠、秋の明澄な空気などを口ずさみ、やがてまた冬を迎え終わります。
日本とアメリカで気候も多少違うので(近年の温暖化もありますけれど)、今ちょうど秋の空気に入れ替わったばかりの日本(わたしの住む横浜の感覚ですが)では、この絵本のなかの「九月」があっているでしょうか。
さわやかな風 は
リンゴの皮の 味がする。
空気は どこも
匂いに みちている。
<中略>
洗剤で きれいに 洗った
皿のように
朝もやに きれいに みがかれた
秋の日々。
アップダイクが日々の生活とともにある季節の機微を、柔らかくも透明な言葉で描いています。
そして勿論バーカートの挿絵も素晴らしいのです。
どの月の、どの季節の絵にも、見えないはずのその季節の空気が描かれているように感じます。まるでそこから風の匂いがするようにさえ思えてきます。
バーカートはどちらかと言うとおとぎ話の絵の印象が強い作家かもしれませんが、現代の風景を描いても、こんなにも素晴らしい、視覚だけでなく他の五感まで感じてしまうような絵を描いています。
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「10月はハロウィーンの月」ジョン・アップダイク ナンシー・エコーム・バーカート