石灰で作られる紙/プラスチックの代替素材|LIMEX(ライメックス)とは?
石灰石を原料として作られる紙/プラスチックの代替素材、「LIMEX(ライメックス)」とは?
いったいどのような特徴を持つ素材なのでしょうか?
印刷側から見たLIMEX(ライメックス)の特徴などを解説します!
台東区&墨田区の印刷人Blog、管理人のKazuhiroです。
訪問していただき、ありがとうございます。
だいぶ目にするようにはなったとはいえ、まだまだ世に広く出回っているとは言いがたいですよね。 LIMEX(ライメックス)? 何それ? 普通に印刷されているけど紙なの?という人が多いのではないでしょうか。
石灰から作られる新素材、LIMEX(ライメックス)とは?
LIMEX(ライメックス)開発したのは、株式会社TBMです。
開発のきっかけになったのは、台湾のストーンペーパー(このストーンペーパー、私も使ったことがありますが、紙とはほど遠く、非常に使いにくい素材でした)です。
で、LIMEX(ライメックス)。 ストーンペーパーのコンセプトを発展させて、石灰石を使って作られたものです。
参考:株式会社TBM LIMEXとは
LIMEX(ライメックス)は石灰石と石油由来樹脂から作られた素材
LIMEX(ライメックス)は石灰石が6~8割 + ポリオフィレン樹脂が2~4割でできています。
紙とプラスチックの代替品(厳密に言うと代替品ではないと思いますが)としての可能性に、大きな期待が寄せられている新しい素材です。
このLIMEX(ライメックス)をシート状にしたものを、われわれが印刷をして顧客に提供するわけです。
この「石灰石が6割~8割」というところがポイントで、石灰石はどこでも入手できる石。日本でも100%供給ができます。
樹脂100%の素材と比較すると、6~8割の資源削減につながります。
もう一つは、木材を使わないという点。
当たり前ですが、石油由来樹脂と石灰石で作るので、原材料として木材パルプは一切使いません。
上記2点がLIMEX(ライメックス)の大きな特徴になります。
石油資源と「水」の節約につながる
先ほど述べたように、LIMEX(ライメックス)は石油資源の節約につながります。使う量を減らせます。
もう一つ減らせるものがあります。それが、「水」。LIMEX(ライメックス)は製造時に水をほとんど使いません。
紙は大量の水を使って作ります。1トンの紙を作るのに水が約100トン使われるそうです。
「水」に関しては、われわれ日本人は鈍感です。
しかし、世界的には水問題の解決は喫緊の課題だと言われています。今後、世界の人口が増えるために、世界各地で水不足が深刻化すると見られます。
LIMEX(ライメックス)は印刷に適している素材ですので、紙の代わりになると考えられています。
LIMEX(ライメックス)と印刷
ここまで、LIMEX(ライメックス)の特性について書いてきました。では、印刷業界にとってはどんな素材なのでしょうか?
高い印刷適正
まず、LIMEX(ライメックス)は普通に(やはり、ノウハウは必要ですが)印刷ができます。
*ただし、オフセット印刷(UV印刷機)、インクジェットプリンター(UVインクまたはラテックスインク)、オンデマンド印刷機での印刷が可能
印刷適正は高いです。印刷の仕上がり具合も、多少眠い感じ(と言ってニュアンスが分かりますか?)悪くありません。見た目はごく普通のマットコート紙の感じ。手触りも、いわゆるプラスチック樹脂系のシート(ユポとはだいぶ違う)とは思えないですね~
また、折加工や製本(折り目にスジ入れが必要な場合もあります)もできます。一般的な商業印刷物に普通に使うことのできる素材です。厚さ、硬さが複数種類ありますので、用途に合わせてお選びください。
ただし、LIMEX(ライメックス)は一般紙と比較すると価格が高いため、オフセット印刷で印刷すると割高になる場合があります。オフセット印刷では実数のほかに予備紙(損紙)が必要です。この予備紙の負担が結構大きく、小ロットの場合は単価にもろに跳ね返るためです。
このため、印刷をしたい場合は予備紙の要らない、オンデマンド印刷(トナー方式)での印刷をおススメします(印刷できるサイズに限りがあります。最大サイズ:A3まで。)。
LIMEX(ライメックス)への注意点
〇印刷物として、型抜き + 折って使う(例:箱など)ものの場合、切れ目の入った部分から、パキッ、ピリッと裂ける場合があります。試作品を作って、十分に検証してください。
〇見た目は紙に似ています。触ってもたぶん判別できないと思います。それゆえ、紙と一緒にリサイクルへ出すと異物混入となってしまいます。 燃えるゴミで廃棄できますので、一般のリサイクルには出さずに、各自治体のルールに従って廃棄してください。
〇LIMEX(ライメックス)はリサイクルしやすい素材と言われます。例えば、企業で印刷物(会社案内など)にLIMEX(ライメックス)を使用した場合、場合によってはそれを回収して再生品として使用することも可能。ですが、回収ルートが確立されていない、回収量の問題、白いシートにはリサイクルできない等、なかなか進展していかないなあというのが本音。
LIMEX(ライメックス)の用途
印刷物の用途としては、 パンフレット(会社案内)、カタログ、チラシ、名刺、メニュー、屋外掲示ポスター、クリアファイル 等のいわゆる一般商業印刷物です。 最近よく目にするのがマスクケース。
LIMEX(ライメックス)は抗菌印刷が可能ですので、マスクケースには利用しやすいですね。
あとは、水に濡れても問題なし、ペンで書けるという特徴を活かして、野外で使う地図や手帳にはどうでしょう?
って、これは、ユポがすでにやってますね。
ただ、LIMEX(ライメックス)の方が折り加工がしやすいので、ユポとは違った使いみちを考えられると思います。
もう一つ、石油資源の節約、木と水を浪費しないという強みを最大限に活かすのであれば、名刺、会社案内、環境報告書などの「環境問題の解決に熱心な会社というイメージ作り」を図る印刷物に使うのがBEST。
リサイクル性の高さなどはかなりのアピールポイントになりそうです。
最後に
LIMEX(ライメックス)は印刷もしやすく、環境問題(石油資源、森林)の解決につながり、世界的にみれば、水が貴重とされる地域で大活躍できそうな予感もあります。
多くの利点を持つ素材であることは確かですが、一方で、やはりプラスチック系の素材であることも確かです。
近年非常に問題視されている「マイクロプラスチック」「海洋プラスチック」。そして脱プラスチックの流れ。いろいろな課題をはらんでいることも確かだと思います。
この辺りの課題をどのように解決していくのかは、われわれ印刷人も注目していきたいと思っています。
株式会社TBM:LIMEXとは https://tb-m.com/limex/about/
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