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「宇田川源流」 日本人の中ではほとんど期待もしていないどころか知っている人が少ない日韓海底トンネルと「経済にこだわる」ということのリスク

2021.02.17 22:00

「宇田川源流」 日本人の中ではほとんど期待もしていないどころか知っている人が少ない日韓海底トンネルと「経済にこだわる」ということのリスク


 日本と韓国を海底トンネルでつなぐ案があったことをあなたは知っているであろうか。

実は、この日本と朝鮮半島をトンネルで結ぶという構想は日本が考え出したものである。このように書くと、現在の日本の保守派の皆さんはアレルギー反応が起きるかもしれないが、それが事実だ。

1930年代に立てられた「大東亜縦貫鉄道構想」というのがその原案で、日本の本土と、当時の満州国を鉄道で結ぶ計画があった。昭和初期の日本は、まだまだ満州の石炭にエネルギーを依存していた状態であったために、その石炭をいかに効率的に運ぶのかということになる。

当然に石炭だけではなく、他の資源も日本に運ぶということ、また法典などに産業を作り出して日本からの商品の輸送を行うということを考える。そのようにした場合は、東南アジアから大東亜全てに回す必要があるのだ。

その意味で日本と朝鮮半島を結び、そのうえで朝鮮半島の南端の釜山府(現・釜山)を起点とし、京城府(現・ソウル)を経て安東(現・丹東)から当時の満州国領内へ入り、奉天(現・瀋陽)を経由して中華民国領内に入り、北京、南京、桂林を経て、ハノイ、サイゴン(現・ホーチミン)、プノンペン、バンコク、マレー半島を通りシンガポールに至る約10,000kmの路線を建設する構想ができたのである。

1942年には「東亜交通学会」が設立され、日本本土(内地)から壱岐、対馬を経て釜山へ至る海底トンネルを建設し、上記の大東亜縦貫鉄道と結んで東京 - 昭南(シンガポール)間を弾丸列車で結ぶ構想が立てられた。日本本土側の起点は下関、博多、呼子(現・唐津市)などが考えられていた。当然に、この時期では半島は日本であり、その「国土」を結ぶというのは特に不思議な状況ではない。また1942年には、すでに戦争は避けられない状況であり、またアメリカとの戦争を考えたときには、当然に海軍の戦いになる。また中国大陸に兵を送るには船が必要になるがトンネルならばその必要はない。

そのように考えれば、戦前に日本が半島と日本の本土(九州を含む)を結ぶ計画があったということは「同じ国土を結ぶ」のであって、青函トンネルやしまなみ海道と全く変わらないのである。

しかし、これが国が変わった今になって、また取り上げられていることがおかしい。


釜山市民団体「日韓海底トンネルは“反民族事業”、直ちに撤回すべき」=韓国

 韓国の国民の力 プサン(釜山)市党が日韓海底トンネル建設を釜山市長補欠選挙の公約として発表したことに対し、釜山市民団体が直ちに撤回することを求めた。

 日韓海底トンネル推進反対汎民族委員団は10日、釜山市役所前で記者会見を開き、「民族の利益を日本に捧げる国民の力の日韓海底トンネル推進公約を断固反対する」と明らかにした。

 団体は「日韓海底トンネルは、経済的大陸進出を図るために日本が大韓民国の領土を合法的に収奪する名分を与えるもの」とし「韓国産業が日本に従属される可能性がある」と批判した。

 続いて「釜山がユーラシア横断鉄道の終始着となれば、旅客と物流のすべてを独占することができる」としながらも「日韓海底トンネルが建設されれば釜山は日本に行くために通る一つの簡易駅に転落する」と指摘した。

 さらに「日本が建設費用を全額負担しても絶対に同意してはならない“反民族事業”であることを肝に銘じなければならない」と付け加えた。

 イ・ジフ推進委常任共同代表は「釜山は加徳新空港建設で経済跳躍しようとするゴールデンタイムに置かれている」とし「この重大な時期に10年前に実効性なしと廃棄された日韓海底トンネルの公約を選挙公約に掲げた国民の力は民心を察していなかった」と指摘した。

 さらに「韓国を侵略した過去の歴史にも背を向け、謝罪のない破廉恥な日本を受け入れる段階はまだまだだ」とし「釜山市民を愚弄してはいけない」と述べた。

 一方、今月9日、国民の力釜山市党は、釜山市議会ブリーフィングルームで△加徳新空港の推進△日韓海底トンネル△釜山エキスポ誘致支援特別法の制定などを釜山市長補欠選挙公約として発表した。

2021年02月10日 17時57分 WoW!Korea

https://news.nifty.com/article/world/korea/12211-960354/


 「国家観」というものがある。国をどうするのかとか、国の将来の姿をどのようにするのかということである。単純に、「国家」というのは「主権」「領土」「国民」からなる物であり、「経済」や「メンツ」などによって左右されるものであってはならない。経済やメンツは副産物的なものである。もちろん裕福である方が良いし、国際的にメンツを立てることは重要であるかもしれないが、そのことが国防を犯してよかったり、国家の根幹を揺るがすものであってはならないのである。

しかし、日本に限らず、多くの国の政治家がその辺を間違えてしまうことが少なくない。特に国そのものが貧しい場合、または「政治家の心が貧しい場合」にはそのようなことになってしまう場合が少なくないのである。そのようなことを間違えてしまう可能性がある。

さて、戦前の日本が同じ日本領の朝鮮半島と日本本土を結ぶことには非常に高い意義があったと思う。上記のように軍の往来や資源の往来など、国防の観点からしてもまた産業などの視点からも、一体化することは非常に大きな意義があったはずだ。

では、今韓国と結ぶことは何の国益があるのだろうか。

これは韓国という国はどのような国とみるかによって異なる。私の見るところ、このブログでは何度も出しているが、韓国というのは、もともと、日本が併合する前の「大韓帝国」であり、その国王がいなくなったために「大韓民国」になっているものの、いまだに北朝鮮との戦争が終わらせることができず、内戦のまま60年以上放置された「戦争中の国家」である。

まあ、「国家」ということができるのか、あるいは「戦争中の内戦政府」というように定義づけるのかは難しいが、いずれにせよ「内戦中」であることは間違いがなく、現在で言えばシリアやイラクと同じ状況である。

では、いま日本の海の向こう側にシリアがあって、シリアとトンネルで結ぼうと言っているのと同じである。違うのは「戦闘行為が現在のところ行われていない」というだけで、いつ起きてもおかしくはない。

当然に、そのような状況なので、韓国の側から戦前の計画を持ち出してトンネルでつなごうというような話になる。一つは「経済圏の構成」である。しかし、そもそも戦争中の国の経済というのは、長期的なヴィジョンで投資計画などを考えることができない。そしてもう一つは、経済的な理由であっても、それが戦争が再開した場合には軍事施設として使われることになる。

このほかにも「巨額の建設費と維持費への疑問」「災害リスク」「国防上の問題」「貿易関税の問題」というようになる。そのほかにも現在の日韓関係の悪化や、韓国人のモラルの低さなどを考えれば、良いことは何もないのである。

一方推進派は大陸と繋がることにより地政学上シーレーン防衛の負担が一部軽減されることが見込まれる。基本的には物流の活性化が重視されているが「日帰り圏が韓国南部と九州・中国地方に形成され、新たな観光需要が期待される」「トンネルに併設されるパイプラインや高圧送電線により、ガス・電力の多国間融通が可能になりエネルギー産業の発展が期待できる」などといっている。

見てわかるように、推進派の方は「経済」または「メンツ」の問題ばかりである。この問題、現在の菅政権はどのように考えているのであろうか。