火球の実経路計算結果
緒言
鳥取で眼視観測していると時々明るい流星を見ます。その都度織部さんに問い合わせしていますが、以下の火球はさじアストロパークの宮本 敦さんから画像をもらいましたので、実経路の計算をしてみました。
火球の基礎データ
日 付 2020年12月6日22時17分JST 0等級 散在流星 継続時間1.5Sec 河越観測。
観測者 河越 鳥取市 眼視観測 東経134.258度、北緯35.513度
さじアストロパーク全天カメラ 東経134.120度、北緯35.338度、標高397m
注 意 河越は経路途中から気付いたので厳密な発光点は見ていません。
計算方法
紙面の都合で詳細は省きますが、エクセルを使って計算しました。観測データを変数として入力すれば即時計算ができます。但し、経験あればお気づきとは思いますが三角関数計算ですから象限判定のミスに気をつけて下さい。従って中学生の数学レベルで計算は可能です。天文知識は恒星時と時角の概念が必要です。
結果
経路図を参照下さい。
発光点(途中) 鳥取県と兵庫県境の蒲生峠付近上空約30kmです (図中記号A) が、
経路途中からの観測という事情と全天カメラ画像を考慮すると、
兵庫県新温泉町付近上空約50kmと推定できます (線分SAの延長方向)。
消滅点 鳥取県八頭郡大江付近上空約20kmと推定できます(図中記号D)。
経路長 最短でも25km。新温泉町付近上空が発光点だとすれば約46kmと予測でき
ます。速度は30km/秒の中速度の流星のように思われます。
計算の精度
河越の観測が眼視で経路途中からという事実と、鳥取市街からさじアストロパークまでの直線距離が21km程度しかないという点を考えると、必ずしも高い精度とは言えません。
少なくとも観測者間距離は50km必要な上に、両観測地点ともカメラ撮影であれば精度も格段に向上したことでしょう。こういうことから鳥取、倉吉、米子を結ぶ高校生カメラネットワークの結成が必要だと考えます。勿論一般社会人も歓迎です。(河越 彰彦)