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yoyo

酒井順子『百年の女 - 『婦人公論』が見た大正、昭和、平成』

2021.02.16 06:40

『婦人公論』百年分のバックナンバーを紐解く本。紙面の生き生きとした雰囲気を淡々と伝えてくれる酒井さんの語り口がとても良かった。かつて女はここまで人間として扱われていなかったのかと驚いたけれどもそれ以上に驚いたのが、女性の生きる環境は時代の流れに沿って良くなっていったのではない、時の政権や時代の空気によって逆行してしまうこともあるということだった。

為政者は子を増やせ、子を調整せよ、どちらの大義名分にも「女性解放」を使った。正しさなんてその時代によって変わる。自分が思っている「幸せ」は本当に「幸せ」なのだろうか、大きなものの使う言葉に踊らされている結果ではなかろうかと少し怖くなる。

一方「結婚はまだ?」という親世代の気持ちも少し分かった。そんな時代を生きてきたらそう思って当たり前だよなと。言う方だって結婚=幸せなんて思っていない。その上であえて言っていることの意味を知った。

大正から平成までの女性たちの生き方を読んで、彼女たちの積み重ねがあるから、私は私の幸せが本当の幸せかを考えて判断することができるのだなあと思った。そしてその幸せを追求する権利も持たせてもらえていると。彼女たちに感謝をしつつ、時代が逆行しないよう願いを込めて。#genderequality