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酒場BETTAKO

BETTAKO -其の198-

2021.02.17 17:08

つい先日、蔵の主人と話を交わした。

発信履歴と主人との会話しか今は

残ってはいない。


年号が平成から令和へと変わった。

元年2年…そして3年。

昭和から平成にかけ、鹿児島でも多くの

蔵達が造り出す、味深い髭文字の古風な

レッテル(ラベル)達は、静かにその歴史の

幕を閉じ消えていった。

それは…。

色々な想いが重なり苦渋の決断を下す。

その深い場所は、長きに渡り製造業を

守り抜いてきた経営者、本人達にしか

わからない事だろう。


それが令和3年となった今年。

今という切なる現実は、在る時や無くなる時、

その物事はリアルタイムに動いており、

少し先の未来を時として現実化にしてしまう。


焼酎蔵は今を凌ぐ事に精一杯。

焼酎蔵が精一杯なのなら、農家も精一杯。

みんな今を生きるのに精一杯。


たかが数百本売れたから、蔵が助かる訳が

ない。一年を通し、売上高が増す銘柄もあれば

終売を視野に入れなくてはならない銘柄もある。


それは焼酎に限らず、いつの日か訪れるだろう

日本酒の蔵も同じ事と言える。

約1200蔵。一つの蔵が年間に作り出す

銘柄数を8銘柄以上と合わせれば、

ざっくりと謳いその数は9,600銘柄以上。


9,600銘柄以上の日本酒全てに愛を注ぎ

取り扱うことができるか…ということになる。

人気銘柄を人気が出る前から、先見の眼差しで

取引してる酒屋や飲み屋もあれば、急に人気が

出始めたから、慌ててウチにもという、

アホなのか…哀れな酒屋や飲み屋もいる。


古い時代、今の時代。

酒が取り巻く環境には、いろんな世知辛い

大人の金儲けと哀れさが渦巻き続けてきた。


大人の世界において、異端児は今も昔も

除け者にされる。そうして酒業界は

ひとつひとつ何かを潰して、成長してきた。


突然の廃業の訪れは、悲しみの声をあげるが、

来年にはもう忘れられている。

しかし、ほんのひと握りのコアなファンには

心の中にその銘柄とその風味が生き続ける。