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何気ない日常の生活

改めて考える小売業の意味(2)

2021.02.20 01:21

前回に引き続き、小売業についてのあくまで個人的な見解。


前回の記事はこちら。

つまり、売上が落ちてすぐに対処することができなければお先真っ暗、未来は闇、というロジックが成り立ってしまうのだ。

気が遠くなるような時間と経験の積み重ねによって得られるマンパワーを最大限に発揮することによって、小売業の進歩という成果が初めて得られるのだ。

なんともネガティブ寄りな帰結。


転じて今回は、小売業だからこそ実現できるポジティブな側面に目を向けている。



●小売業の定義

そもそも商いの起源は物々交換であり、"買い手"と"売り手"は同列の存在であった。互いに欲しいモノといらないモノを入れ替えることで、各々の欲を満たしていたのである。

その後、信用に変わるお金(通貨/紙幣)という概念が生まれ、社会が成熟、生産活動の効率化による余剰の果てにその交換行為の個性が変容してきた。

必要・不要の概念は元より、欲しい・欲しくないという自己実現に依る手段の一つとして"消費"という概念が生まれた。

欲を解消するため、信用と引き換えに心地良さを獲得する。そんな1つ1つの小さなモノ(小口)とお金の取引を商い(商売)として捉え、事業として関わった人々の心地良さを追求していく。

これこそがまさに我々の行う"小売"というものだ。


文脈から察する通り、小売業とは…

人々を幸せにする小口商売の総称

と言い換えることができる。



●日用品(コモディティ)について

私たちのいる小売業界を論じる前に必ず触れておかなければならない概念がある。


小売業と言えば?


…と聞くと、日々の暮らしに必要不可欠な食料、衛生用品等を思い浮かべる方が多いハズだ。ある意味での生活インフラと呼んでも間違いではないだろう。


これらは日用品(コモディティ)というカテゴリーに分類される。


専門的な説明を全て飛ばしてわかりやすく言うと、"製造者・生産地などの商品個性で明確な差別化が行われず、どれを購入しても満足度が変わらないモノ"である。

もちろんメーカーやブランド名、素材・原料でそれぞれの品質や顧客嗜好に差が生まれるのは確かだが、広義でコモディティと呼ぶと上述した意味合いになる。


これはこれで間違いなく必要だ。

本当の意味で人々の暮らしを支える必需品。

なくてはならない存在である。


しかし、このマーケットで事業をしようと思うと前回にある通り、かなりの資金が必要になる、というケースが多い。

幅広い顧客ニーズを解消すべく品目・物量(棚卸資産=買掛金)を、物理的に大きな面積(賃料)で、盛大に構えなければならない。


であれば、日々のフロー(収入)を獲得するためのストック(資産)はとてつもないことになる。

資本力がなければ到底、実現不可能な領域だ(…というわけでもないがそれはまたの機会)。


であるがゆえ、私たちが提供している(しようと努力している)付加価値はこのコモディティ範疇の外側にあるのだ。

それは比較的小資本でも始まることができ、1人1人の消費者の心を満たすことができる。



●精神的な豊かさの獲得へ

前回の問いである、

「なぜ小売業に投資するのか」

の答えはここにある。


恒常的に日用品(コモディティ)で捉えきれない人々の"欲求"を満たすことができれば、その事業には意味が生まれる。


日々の暮らしに安定感があることは非常に重要であるが、例えば1年間全く同じルーティン、全く同じ装いで過ごすとどうなるのか。暮らしの道具や衣服が自身と無関係な他者と全く同じであった際にどう感じるのか。


もちろんそんなことは現実には起こり難いので比較はできないが、その時の感情や不測の条件問わずフラットに考えるとズバリ、「つまらない」だろう。


翻って、コモディティ以外の"お買物(消費)"を通して欲を解消できた際の満足感は一入だ。


一生懸命に稼いだお金でずっと手に入れたかったモノ、使いたかったモノを買う時の気持ちはもはや説明不要だろう。

そして、そこで手に入れたモノで自身の暮らしが楽しくなるのは当然だ。


「お気に入りの器で苦手だった料理が得意になった」

「お風呂上がりのビールが美しいグラスでより美味しくなった」

「自分らしいコートを手に入れたから街に出るのが楽しくなった」


などなど、嬉しい・楽しい瞬間は枚挙にいとまがない。



そしてその結果、誰もが他人に、モノに、この世界に優しくなれる。

ポジティブな感情によって心の中に余裕が生まれるのだ。


SNS全盛で歪な承認欲求がとりまくこの世界において、紛れもなく"小売"とは人々の自己実現欲求を満たすことができる手段の一つだ。


  • 小資本でも、お客様の顔を想像してその方が嬉しくなるようなモノを仕入れることができる。
  • そのモノの個性を独自の文脈で引き出して提案することができる。
  • お客様それぞれの暮らし/日常に素敵な色をつけて、豊かな感情を生み出すことができる。


まさに"事業"と呼ばれる概念そのものだ。

私の考える、小売業としてのアイデンティティは人々の暮らしを豊かにすること。

小売業に投資をし続ける理由はまさにこれだ。


毎日の暮らしが楽しくなれば、心が豊かになる。


これほどまでにやり甲斐のある事業はない。

今もそう信じている。

だからこそ、ここまで続けることができているし、このコロナ禍もひとまず生き延びることができたんだと考えている。

もちろんスタッフのマンパワーに支えられて会社は成り立っている。


そのマンパワーの源が"豊かさの追求"であれば嬉しいなぁ。


そんな今日も暑くクサいことをひたすら語っている。



毎日が楽しくなりますように。