遺言形式の基本は、変わらず
★一昨年(2019年1月13日施行)自筆遺言証書において、財産目録のパソコンでの作成も認められるようになったわけですが、それを間違えた理解をしている人もいるようです。
パソコンで作成してもいいのは、「財産目録」についてのみです。
遺言内容のすべてをパソコンで作成し、最後に、被相続人の名前だけを自筆している物が有ると言います。
これでは、この遺言書は無効になります。
又、たとえ「財産目録」をパソコンで作成しても、それ自体にも、被相続人の自筆サインが必要です。
本来の「自筆遺言証書は、すべて自筆である事」と言うのは、変わっていないのです。
ただ財産目録だけをパソコン作成してもいいと謳っているだけに過ぎないことを再認識してください。
★また、以前にも投稿しましたが(※1)、遺言内容における、財産を法定相続人に指定する時の言葉は、「相続させる」と言うものでなければいけません。
「与える」とか「任せる」とかでは、相続そのものを想起させません。確定的な言葉ではないのです。【相続させる】と言う言葉以外は無効となると認識せねばなりません。
第3者の時は、「遺贈する」です。
※1=【相続させる】という文言(2020.10.11 19:45)
★その他に、偽造変造は勿論の事、家裁検認の無い前での開封、遺言書の加除訂正、代理遺言、遺言者の作成当時における身体及び精神の能力、使用筆記具の問題、印鑑の問題など、自筆故に起きる色々な問題への対応次第が有効無効の分かれ目になります。
★自筆遺言書を「専門家に頼むと、公正証書にすると、お金が掛かる」とか「自分で書けるから」と安易に構えないほうが無難です。
言葉一つ、文言ひとつで、全て無効になってしまう事が、巷でも、強調されています。
例の「自筆遺言証書の保管制度」もしかりです。保管自体が、目新しい事で、紛失偽造を防止できるのですが、内容確認は、形式だけのものであり、精査されない事が明記されています。
少し一般論を言うと、どのような事も100%完全なものはありません。
故に、そのもののメリット・デメリットを考えることが大切であると言う事です。
物事を疑えばきりがありませんが、疑ってかかることから、始まるほうが、損が少ないとも言えます。