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自然との対話 そこから生まれるもの

2018.02.21 04:16

https://www.mitsuihome.co.jp/premium/gallery/interview/ 【自然との対話 そこから生まれるもの】より

唯一の木、唯一の風景と丁寧に向き合い、1人で撮影を続ける世界的写真家、マイケル・ケンナ氏。自然と人間との対話に根ざした作品づくりの姿勢は、三井ホームプレミアムの“唯一の暮らしづくり”にも、つながります。

僕と自然は、一緒に何かを創りだす関係性

僕の作品を見て、「どうやって静かで人のいない場所を見つけたのですか?」と聞かれることがあります。でもそれは、見つけたわけではありません。被写体と一緒に創りだした時間であり、空間です。ただ撮るのではなく被写体との対話を重ね、たとえば撮影時間帯や長時間露光などの撮影法で、僕との関係でしか生まれない時間と空間を創りだして撮る。そういう意味で、僕は写真ジャーナリストではないのです。

また、こうも聞かれます。「同じ木の撮影に何年もかけて、6回も訪れるのはなぜですか」。それは友達にたとえるとわかりやすいでしょうか。友情が長く続き、深く対話を重ねるほどにその関係はより実体に満ちた美しいものになります。もちろん、誰かに初めて会って「こんにちは」と挨拶を交わすことも素晴らしいことだと思いますが、そこにはまだ対話はなく、関係性は希薄なものかもしれません。でもその後、「元気だった?」「何か変化はあった?」「最近はどんな感じ?」と触れ合ううちに、深く濃い関係が徐々に育まれます。同じ木を何度も訪れて対話をし、写真を撮ることはまさに同じことです。確かに、木は世の中に何千本もあります。美しい木もたくさんあるでしょう。でも僕が出会い好きになったのは、そこにある唯一の木であり、訪れるたびに「大きくなったね」「久しぶり」と対話できる関係性を大切にしているのです。自然と貴重な対話を誰にも邪魔されたくないので、僕はアシスタントも連れずに、1対1で撮影を続けます。これこそが豊かな経験だと思っています。

誤解を恐れずに言えば、常に新しい被写体を追いかけて写真を撮るよりも、ずっと豊かだと言えるのではないでしょうか。

どんな小さな場所にも、記憶が宿る

日本は僕が生まれたイギリスに似ているところがありますね。海に囲まれた島国ということだけでなく、小さな場所にもすべて記憶が宿っているところが似ている。さまざまなところに人間らしさが鮮烈に刻まれています。たとえばそれは、僕が初めて来日し、日本に恋に落ちた30年前に触れた“漢字”も同じ。漢字が素晴らしいグラフィックであるだけでなく、そこには人間らしさと風景との交流があると感じます。日本にこころから魅了された僕の自宅には、畳の空間もあるんですよ。俳句も大好きですし、実はカラオケも歌います。日本との出会いから、まるで墨のパレットで風景を描きだすような僕の新しいスタイルも完成しました。日本人の魂の奥に秘められた、不完全さや壊れやすさ、輝いていないものなどへの思慮深い想いも、神秘的かつ魅力的だと感じています。

結局、大切なのは外側だけにとどまらず、内なる深淵にどこまでもアプローチし続けていくことだと思うのです。僕は自分の人生にとても満足をしていますが、同時に常に新しい疑問を見つけ、それを考えることで前に進んでいます。知りたいことがまだまだあるからこそ、対話を続け、写真を撮り続けるのです。

マイケル・ケンナ氏の言葉のすべては、豊かさの輪郭を明確に示しています。向き合う時間、交わし続ける対話、育まれる関係性。それは同時に、三井ホームが“家づくりの先にある暮らしづくり”を大切に想う気持ちにも共鳴します。木や石などの自然と、人間の叡智がともに創りだした家。そこに住まう人が重ねる濃密な暮らし。それこそが“感性を呼び覚ますプレミアム・レジデンス”の在り方であり、マイケル・ケンナ氏の哲学と重なっていくのです。