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マヤ

三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 62』

2021.02.21 22:50

「寒かったろ?こんな暴風雪の中、出歩くなんて、正気の沙汰じゃないよ」




「早くカラダの芯からあっためた方がいいね」




「スコッチでいいかい」




座ったまま、すぐ手の届くところに酒が並んだ棚がある。




女性は迷うことなく棚の奥から茶色い瓶を引っ張り出してきた。




「バランタイン30、スコッチの最高峰だ。飲んだらすぐにカラダが燃えるよ」




「あ、あの…」




震えが止まらなくてうまく喋れない。




「飲み方はそうだな、ワイングラスにかち割りを3つ、グラスに霜が降りるまでステア…

フレグランススタイルでどうだい?あたしも付き合うよ」




「あ、あの…ちょっと待ってください!」




「どうした?先に熱いシャワーを浴びる方がいいかい」




「…ち、違うんです!俺、人を探してて…」




「風が少しでもおさまったら、すぐに立たないと」




「は?この荒天じゃ探し出す前に、アンタの方が持たないね」




「今夜は無理だ。諦めな」




「あ、諦めるなんて…」




「この豪雪の中で、アイツの身も危ないんだ!寒さに震えてどこかでうずくまって動けないかもしれない!…俺が、俺が行かないと」




話をしている時間ももどかしい。




立つんだ、広臣!




せっかく助けてもらったけど…




とても申し訳ないけど…




今は酒を飲んだり、シャワーを浴びてる余裕なんか…




「これ、ありがとうございました。俺、行きます」




バスタオルを畳んで床に置き、力を振り絞って立ち上がった。




ぐらり…




激しい目眩に襲われ、空間が歪んで立っていられなくなった。




「はぁ…はぁ…」




四つん這いになって息を吐く。




凍てついた空気を吸い込み過ぎたのか?




息をすると肺が苦しい。




「無茶するからだ!今はとにかくカラダを温めて横になれ!」




女性の言う通りだ。




もう一歩も歩けない。




カーペットの上にうつ伏せになった。




見覚えのある大きな毛皮をバサッと上から被せてくれた。




「これは温かいぞ、トナカイの毛皮だ」




「し、知ってます」




「…氷でできたホテルで…同じ物を…見た」




「そうか!よく眠れたろう」




「…ええ、ツレと…恋人とカラダを寄せあって…」




「探し人だな?」




「隆二に、隆二にもしものことがあったら…俺」




「泣くんじゃないよ」




俺、泣いてたのか…




「人間はそうヤワじゃない」




「ヤワじゃないから、地球の生態系の頂点に君臨し続けてるんだろ?」




「アンタの大切な人も誰かに救助されて、意外と近くにいるかもしれない」




「信じていれば、光明も見えてくるものだ」




「とにかく体力が回復するまで、ここで休め」




女性はそう言うと氷も入れずに、小さなグラスにスコッチを注ぎ、

俺の顔の近くに置いた。




つづく