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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

啓蒙の光15-三権分立「法の精神」

2021.02.22 10:42

1748年、現在まで影響を及ぼすモンテスキューの「法の精神」が発表された。当時でも反響は大きく、2年で20以上の版を重ねた。モンテスキューは前述のように、ヨーロッパ諸国を訪問してさまざまな国家と政体を観察している。その各国の法を成立させている原理を考察したのである。

モンテスキューは、法を事物の本性に由来する必然的な関係、とする。これはニュートンの発見した力学法則をかなり意識している。モンテスキューは、ロックのように、人間の自然状態を平和と定義する。しかし社会が不平等をつくり、弱い人間は、その状態によってさまざまな法をつくる。

モンテスキューは、政治を共和政、君主政、専制政の3つに分類する。その分類において、主権者の数と適法性という画期的な方法を示した。そして各々の原理を共和政は「徳」君主政は「名誉」、専制政は「恐怖」としている。

今日、モンテスキューのものと言われる三権分立は、イギリス誠治の分析の中で出てきて、個人の政治的自由の実現のための手段としてである。この権力分立の思想は、アメリカ合衆国憲法やフランス革命に多大な影響を与えた。この書は、検閲を恐れて最初は匿名で出版され、王の支配を専制とし、イギリスの君主政を高く評価するので、51年に発禁処分を受ける。