三権を否定するデモ勢力は有権者の百分の一
【社会考察】 平成二十七年八月三十日に国会前で大規模なデモが行われた。警察や産経新聞は三万人台で発表したのに対し、主催者は十二万人。学生団体「SEALDs」に至っては、三十五万人という有り様。社会経験のない学生なので致し方ない点はあるが、有名大学が揃ってるにも関わらず程度が低い。記者は現場に行ったが、産経発表の国会前は確かに三万人程度であろう。しかし議事堂の参議院側の永田町駅から憲政記念館迄にも歩道を埋め尽くす人がおり、議事堂正面の両脇に広がる公園にも多くのシニア勢が散見された。因って、五万人程度が妥当ではないだろうか。
さて、今回の一連のデモは共産党が誘導している。共産党系のデモと云えよう。主催団体や学生団体を辿れば、共産党に行きつく。彼等は新安保法制を違憲とし、安倍総理大臣を辞任ないし法案の廃案を狙う。彼等は一見、全うな主張に見えるが、自己矛盾に陥っている。彼等は憲法を大事にしている様だ。然しながら、デモにより法案を廃案に持ち込もうとする。以下、憲法にて彼等が自己矛盾である点を立証する。
第四十一条:国会の地位;国会は唯一の立法機関
第五十九条:法律の成立;両議院の可決で法律に
<弁護士の信用がまた落ちる>
デモは表現・集会の自由である。最高裁の各判例より合憲。デモによって法案を廃案にしようとするコトは、違憲行為ではないだろうか。まずは国会(立法府)への否定である。昨年末の衆院選で彼等は頑張るべきである。自民党のマニュフェストに新安保法制に関する事項も記載されていただけに、デモは後出しじゃんけんである(改正「派遣法」等も同じ)。次に「アベ辞めろ!」と連呼していた点について。
第六十九条:不信任決議と解散又は総辞職;総理大臣の辞職理由が二つ
デモで総理大臣を辞めさせるコトはできない。これは内閣(行政府)の否定に当たる。当日、一国の総理大臣に対し罵詈雑言が多かった感はある。これは言葉の暴力なのではないだろうか。少なくとも表現の自由で、人を傷つけて良いとは言い難い。最後に新安保法案が違憲であると主張する点について。
第八十一条:最高裁判所の法令審査権;合憲ないし違憲は最高裁が判断
デモ行う学生や主婦らは仕方がない。憲法を学んでいないのであろう。弁護士ら三百人が八月二十六日に共同で記者会見を開き、各々が「違憲」「廃案」の赤青のプレートを出した。司法試験を合格し、実務で法曹界に従事する彼等は憲法第八十一条を知らないのであろうか。弁護士は法の正義を追求する者であるが、堂々と第八十一条を否定した行動を起こし、その条文に触れもしない。悪までも法曹界の人間であるなれば、「違憲の疑いがある。」で留め、断定してはならない。断定すれば、最高裁(司法権)を否定しているコトになる。誰が?司法試験を合格した弁護士が。
<総選挙時に何をしていたのか?>
詰まり、彼等は三権(司法権・立法権・行政権)を否定する。最早、彼等が違憲では、と云うよりも憲法そのものを否定している。自己矛盾の立証はここで終わる。付け加えて民主主義について。彼等は民主主義をデモで掲げた。我々の声を聞けと。
前文:国民主権;主権は国民にある
その主権は、多数決という民主主義を採用する。さて、今回のデモは、しんぶん赤旗の当日号外に因れば全国で百万人がデモに参加したと記された。日本の有権者は一億人を超えているので、大方、百分の一の国民が八月三十日のデモに参加したコトになる。行動しない者は、無投票と云う意思表示に同じでカウントされない。彼等の勢力は百分の一とニッチである。日本国民の百分の九十九は参加しなかった。大阪市長の橋本徹もツイッタにて似たコトを発信した。ニッチであれば、国会や内閣はそれを以って判断するワケがない。
正しい行動を起こすのであれば、自民党以外の政党を第一党にすべく(日本は「政府・与党二元体制」なので)選挙活動や立党に励み、内閣を組閣するないし野党らの力で内閣不信任案又は総辞職に追い込める方法を考え、自身等の意見が通る国会議員や政党を最強にすべきであろう。第一、昨年末の総選挙で国民は信託していると見做せる。どうあがいても、第二党以下は共産党を含め国政を担える支持を獲得しなかった。責任は国民にある。彼らや弁護士らは、自身等が三権の全てないし一部という憲法を否定し、非常にニッチである点を理解しているのであろうか。
<国民の程度を上げる>
最後に、新安保法案を理解したデモ参加者は、どの程度いたのであろうか。この法案は日本国の平和を維持する為の法案である。「戦争法案」という呼び名等は余程、拡大解釈ではないであろうか。
精神分析学者・和光大学名誉教授の岸田秀は書籍『日本人と「日本病」について/文春文庫』でこう述べた。
「どんな国家でも、その国民一般の平均水準以上の指導者を持つことはできないんですよ。たまたまその水準を抜きん出た賢明な指導者がいて、国が間違った道にはまりはまり込もうとしているのに気づいて押しとどめようとしたら、暗殺されるか、暗殺されないまでも失脚させられます。そして国民は、国民の気に喰わぬことをしようとした者が暗殺されたことを拍手喝采して喜ぶでしょう」
記者:金剛正臣