Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

嬲る恋

2021.02.23 02:13

隅’sドラハリは 「もうやめてよ 知りたくなかった 知らないままで、君の事をあのまま嫌いになっていたかったのに」と潤んだ瞳を歪ませて諦めたような声で言いました。

ずるり、身体からマントが剥がされる。

僕は指を曲げることすらできず、それを感じていた。

薄暗い車内、生徒たちの喧騒が遠くに聞こえる。雨粒が窓を叩く。

冷たい指先が伸ばされた。網棚に乗っている僕の首の下に手が差し込まれる。動か無い右腕を強く引かれた。

一瞬の浮遊感、ドサリ、と重力の音がして、僕に呪いをかけたやつの膝に落ちた。

「いいザマだな、ポッター。」

マルフォイの指が楽しそうに僕の髪を一梳きした。

青白い指から僕の髪がパラパラと垂れるのが見えた。

悔しさに唇を噛み締めることすら出来ず、僕はただマルフォイを凝視した。

笑みの形にしなっている唇の端が痙攣するようにぴくぴくと動いている。

今にも泣き出しそうな、怒り出しそうな、決壊しそうな雰囲気だった。

「お前の冒険はここで終わりだ。大人しくマグルの下に帰ってベッドの中で震えるといい。」

僕の身体をあぐらの中に抱え込んだ体勢のまま、マルフォイは話し続ける。

(そんな訳にはいかない!)

声にならない声を張り上げる。

ヴォルデモートが勢いを増しているのに僕だけ魔法界から取り残されては駄目だ。

「不服そうな瞳だな。そりゃそうだ、英雄様は自分で始末を付けなきゃ気が済まないんだったな。」

僕なんか放って早く行ってしまえばいいのに、マルフォイは僕を抱えたまま囁き続ける。

「馬鹿だろう、本当に、骨の髄から愚か者だ。」

上向いていたマルフォイが僕の上に屈み込む。

白金の髪がサラサラと額を流れた。

僅かな光に反射して煌めくそれを僕は目で追わざるを得なかった。

「フィニート。」

反対呪文が唱えられる。硬直していた身体が急に弛緩して、僕は備えられずだらりとマルフォイの腕にもたれかかった。

瞬間、髪の触れる距離にあったマルフォイの顔が近づく。とっさに目を閉じた。

ふっと吐息が鼻先をかすめた。僕の乾燥した唇に、湿った柔らかな何かが触れる。

ちゅ、と唇の先を吸われて急いで目を開けた。

「お前が大人しくしててくれたなら、僕だって死喰い人見習いなんて賭けに出なくて済んだのに……。」

至近距離で僕を見つめる灰色の目が、まっすぐに心臓を射抜く。

不整脈がひどくなった。

「ぇ……あ、君、今……?」

「ソムヌム、眠れ。」

くらり、視界が揺らぐ。瞬きさえ許さぬ強い眠気が僕を襲う。

必死に抵抗してみるが、呪文には抗えず、どんどん意識が混濁していく。

マルフォイが僕を持ち上げ、そっと座席に横たえると、透明マントを上からかけた。

「やっぱり、君には呪文が効きづらい。」

呟くマルフォイの声と共に僕の意識は暗転した。