お客様のご感想から
2019年11月「マクベス」をご覧になったお客様からのご感想、また2019年1月「間違いの喜劇」のご感想を掲載しました。舞台写真とともに振り返ります。2017年12月「ペリクリーズ」ではイラストをいただきました!
◇「マクベス」(2019.11)より
・昨年の春に学生と『マクベス』を演習で一緒に読んだため、今回の公演を学生たちと観に来ました。内容が心に新鮮な状態で残っているため、いつも以上に期待していました。 今回の公演も期待を上回るすばらしいものでした。貴劇団の「シンプル」でありながら「豊かな」演技と解釈は『マクベス』のテーマである、「良いは悪いで悪いは良い」に重なっていたように思いました。 オクシモロンは、シェイクスピアの本質であるのかもしれません。お世辞抜きで今まで観た『マクベス』の中で最上の公演でした。
(上智大学文学部英文学科准教授 西先生)
・「マクベス」は多少観て来ましたが、ようやくシアターでの上演に巡り合えました。これまで見たどの舞台よりもシンプルでありながら、一番身近でしかもスケールの大きいマクベス夫妻だったと思います。 マクベスが本当に勇敢な武将で誰もが憎むべきことをやってしまうと同時に、詩人としての繊細な心と誰もが持つ人間性を持ち合わせていること。 夫人が真底恐ろしい女であると同時に、ごく普通の夫への愛情を持っていること。それらを心からの言葉として語られる小田島訳によって、生き生きと感じることが出来たのです。 吉沢さんはやはり小田島=出口シェイクスピアの到達点であり、清水さんは次代を担うシェイクスピア役者です。髙山さんのマクダフも人間味と真情に溢れ、西尾さんのバンクォーはやたらに格好よく、 西村さんのマルカムはマクダフとのからみで「この若者なら大丈夫」と思わせました。少年が出なかったのは残念ですが、マクダフ夫人殺しは生々しく、「血塗れの将校」とバンクォーが重なるのも見事でした。(50代:男性)
・面白く拝見しました。日本でのシェイクスピア上演の白眉です。(70代:男性)
・悲劇の暗闇の心地良さを感じました。マクベス、マクベス夫人はじめ役者さんの台詞の確かさに安心感を持てました。口跡の素晴らしさ、響きが素晴らしかったです。 NINAGAWAマクベスは、衣装や舞台美術などが素晴らしかったですが、素舞台ゆえに役者さんの本当の力を感じました。(50代:男性)
・素晴らしい劇でした。マクベスへの解釈が深まりました。ありがとうございます。初めての観劇がこのような素晴らしいものであって、本当に嬉しく思います。ありがとうございました。(10代:女性)
・古典作品を実際に上演したものを観るのは、初めてでした。台本を読んだだけでは分からない長台詞を聞く心地良さ、映画など多くの装飾を用いない演劇としての形の上演、とても楽しかったです。 ありがとうございました。役者一人一人の熱がとても良かったです。(10代:女性)
・マクベスが、まるで身体全体が楽器のような、身体全体が声、という感じで美しかったです。場面でいうと宴会の場がきれいな絵のようでした。 マクベスが恐怖におののいているときに、バックの人々が静止していて、そのコントラストがよかったです。主役の2人だけが浮くわけではなくて、全体的に、常に常に「みどころ」という感じでした。 キャストの方々すべてが、生き生きしていてよかったです!(50代:女性)
◇「間違いの喜劇」(2019.01)より
・何よりも俳優の皆さんの溌剌とした台詞と演技に魅了されたというのが一番です。今日もエクステンションの際に BBCも含めた他の映像もお見せしつつ皆さんに申し上げたのですが、 シェイクスピアシアターの皆さんの演技は、台詞をきちんと生かしていらっしゃる点が全く他とは異なると思います。ちょっとした言葉のやり取りで、表情と動きに微妙な変化を出していたり、さっとすぎてしまいそうな言葉にもちゃんと反応し、それが非常にスピーディかつ何が起こって いるのかが明確にわかってくる舞台になるのだと思います。ですので、台詞がそのまま笑いになり、心の揺れになってくるのだと思います。これはシェイクスピアには一番必要なことだと思うのですが、なかなかそうした台詞を語るということができないところが多いだろうと思われます。こんな面白い『間違いの喜劇』をやれるところはイギリスも含め、見た ことがありません。これも全て出口さんのご指導の成果ですので、すごいことだといつもながら感服しております。
(早稲田大学文学部教授 冬木ひろみ先生)
・「間違いの喜劇」を観て、泣いたのは初めてです。帰途、中央線の電車に揺られながら、なぜか亡くなった両親に会いたくなりました。 亡くなった両親と会うことは二度とありませんが、「再会」はなくても、「再生」はあるのかと思ったら、明るい電車の中と窓の外の暗い世界が行き来して、 再び演者たちの声が聞こえてきて、自分も舞台に立っていたかのような錯覚に陥りました。しかも、その錯覚は強烈なリアリティーを伴っていました。(60代:男性)
◇「ペリクリーズ」(2017.12)より
・台詞がよどみなく着実に耳から入ってきましたし、『ペリクリーズ』特有の物語をつなぎ合わせてゆく劇構成が、吉沢希梨さんの素晴らしい語りで、見るものを飽きさせることなく、最後は感動的な再会の場面へと繋がっていったように思います。 出口さんのご登場も劇の枠を作るかのようで、とてもよかったと思っております。主演の清水さんは、このところ本当にうまくなられましたね。台詞が見事です。
(早稲田大学文学部教授 冬木ひろみ先生)
・「ペリクリーズ」、思わず「最高傑作!!」と言ってしまいましたが、本当に素晴らしい舞台でした。 汚れのない綺麗な舞台に、涙が滲みっぱなしでした。仮面、物言い、所作、俳優の「私」を抑制し、だからこそ溢れてくるその役者でしか現せない気配、心情がひしひしと伝わってきました。 言葉と身体でもって、誰もが、誰にでもなる想像力の大切さ。「能」というこの土地に伝わる「離見の見」のまなざしが沙翁の世界と重なる奇跡を目の当たりにし、心が洗われました。 プロローグとエピローグで演出家が登場することで、力強さが増したように感じました。
(シェイクスピアシアター1期生 佐野史郎)