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マヤ

三代目❤夢小説(臣隆編sixth)『冬恋 65』

2021.02.24 23:00

「幸運を…」




女性に見送られてガラスイグルーを後にした。




白い嵐は完全におさまっている。




真夜中なのか?明け方なのか?




一日中太陽が登らない極夜は、時間の感覚も麻痺させる。




そして過酷を極めるこの寒さだ。




降り積もった真新しい雪をかき分け、四方を見ながらどこへともなく歩く。




隆二を見つけたら、無事が確認できたら電話を借りて、明日美ちゃんに連絡を取り

ーナンバーは記憶しているーGPSでスノーモービルの位置を探って取りに行き、




いや、先にアイツが無事だったら、とにかく抱きしめて半日でもいい、

暖め合って休みたい。




無理言ってお借りして、酷い嵐の中、止むを得ず途中で乗り捨ててきて、

とても迷惑をかけてるけど、できればそうしたい。




ホテルイナリまで戻れるかな。




隆二、どこにいるんだ?




視線を感じてハッと振り返った。




雪が積もってできた小高い丘の上から、一頭のトナカイがこちらを見ている。




真っ白なトナカイ。




大きくて立派な角がある。




ツアーバスで遭遇したあの白いトナカイの様で、まったく違う個体にも思える。




鹿と違ってトナカイは雄にも雌にも角があるから、どちらか見分けがつかない。




こんな頻繁に遭遇するものなのか?




白い息を吐いて首を上下し「こっちに来い」と俺を招いているようにも見える。




ー白いトナカイに遭遇すると、良いことも悪いことも起こるー




白髭の老人が言った言葉がまた蘇った。




それでもその導きにすがる思いで、俺はトナカイが立つ丘へと向かった。




近くまで接近すると白いトナカイは身を翻して、走り去って行った。




「行ってしまった…」




走り去った方角に小さな小屋が見えた。




「もしかすると…」




俺は迷うことなくその小屋を目指した。




つづく