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Baby教室シオ

偉人『マリー・キュリー』

2021.02.26 00:00

「進歩はいつもそれほど早く容易には訪れません」そう語ったのはポーランド人・マリー・キュリーその人である。史上最も偉大な女性科学者であり、貧困と周囲の無理解に耐えながら新元素ラジウムを発見、放射能という言葉を生み出し私利私欲にとらわれることなく純粋に研究を追及し、女性の社会進出の可能性までも変容させノーベル賞を2度も受賞した人物である。

今回は彼女の学問や研究に焦点を当てるのではなく、真面目な人物であってもいたずら心を持ち合わせ、その発生はどこに起因するのかを幼少期に探ることにする。

ロシア圧政下のポーランドで下級貴族の父は物理と数学を学校で教え、母もまた女学校長として教育に携わっていた。マリーはその両親の5番目の末っ子として誕生。当時の教育はポーランド語が禁止されロシア語で行われていたが、両親は愛国心を持ち希望を捨てず教育に一層の心血を注いだ。マリーはそんな両親のもと育ち4歳にして7歳の姉を上回る学力を有し、父が人形遊びを促し読書から遠ざけようとするも徒労に終わる。

ある日姉達は妹マリーの気を逸らそうと彼女の周りに椅子を高く積み上げ音を立てて崩れるいたずらを仕掛けたが、その音に動じず平然と読書をし崩れた椅子の傍らに立っていた。常にこのようないたずらを仕掛けられていたのである。

マリーは女学校を首席で卒業し田舎の親類で滞在することになった。その滞在中にいとこといたずらを家人に仕掛ける喜びを味わったのである。

あるとき親類の一人が毎日大量のミルクを飲み干すことに気付いた彼女は、そのミルクの量を相手に気付かれないように時間をかけて減らすいたずらを仕掛け、親類が異変に気付かない様子や変だと思い始める様子を実験経過を観察するように確かめていた。もう既に研究者としての資質があるといえる地味ないたずらである。

また親類が何度も物を探す姿を見て、相手の持ち物や靴などを天井に釘で打ちつけ、探し回る姿を楽しむなど凡人には早々思いつかないいたずらをしていたのである。

実はいたずらというものは子供の脳の発達と深く関係している。幼いマリーは姉達のいたずらを実体験しながら、いたずらの理論立てを学び自分なりの発想を磨き上げていたのであろう。そうでなければ早々に結果が出るいたずらを思いついていたはずだ。

マリーのようにいたずらを仕掛けられる側でも何かの拍子に仕掛ける側になりうる。いたずらをする側は人の反応を楽しむことや注意を引く、好きな気持ちの裏返し、人を笑わせるため、人に構ってほしい、好奇心からの行いなど様々な理由がある。マリーの場合には好奇心から来るものであったのではないかと想像する。

いたずらを仕掛けてくる子供をよく観察していると、目をらんらんと輝かせ心が躍動していることが表情から読み取れる。実はこの反応は大脳が反応しているサインで、まさに脳が急速に発達している状態なのだ。

いたずらの多くは3歳以降にはじまるがそれは脳発達と共に人とのコミュニケーションにも深く関係している。そしていたずらに起因するコミュニケーションは2歳半前後に見受けられる表情の変化を示す2歳特有の変顔にある。ただここで注意しなければならないのが、その変顔が全ていたずらに起因するものではなく、躾の間違いから起こる拒絶や怒りからくるのかを見極める必要があることを頭の片隅に置くべきである。

話を戻すが2歳半前後に目だけを動かす変顔は上目遣いや白目をむく、目を細めたり大きく見開く、やがて口を変形させる、舌を出す、その後手や体を使いポーズを取りはじめるようになる。これは2歳から表情の能力が向上し、他者から笑いを引き出すための行為だ。

この時期に子供の変顔を親がどう捉えるかでその子のひょうきんさや明るい人柄になるかが決まる傾向がある。子供の変顔を見て親が笑えば人を喜ばせるスイッチが入り、自信に繋がりみんなに笑ってもらおうとするサービス精神旺盛な人格形成が開始される。

しかし「そんな顔はやめなさい」と叱ってしまえばそのひょうきんになる芽を摘むことになる。一方注意しなければならないのは大人の過剰な反応により子供の変顔のスイッチを振り切れるほど入れてしまうことだ。大脳の前頭葉に興奮を抑制する働きがあるが、子供の脳はまだ発達途中の未熟さがあり、過剰な興奮状態にさせてしまい兼ねないことには注意が必要である。


人間は人口の大半を占める凡人であっても、才能に恵まれたマリー・キュリーのような真面目な才能に吐出した人であってもいたずら心を持ち合わせるお茶目さは必要である。人を笑顔にする行動は心の豊かさのひとつバロメーターでもある。3歳以降のいたずらについては研究が進み認知はされているが、人を笑顔にするための発達の芽が2歳児にあることに気付いている親御さんはどれだけいるであろうか。

マリーはこう語っている。「進歩はいつもそれほど早く容易には訪れません。」そう子供のいたずらもある日突然いたずらを開始するのではなく、発達の段階を追って心身ともに成長発達を段取っていくものなのだ。

今まさに私のレッスンでも変顔実践中のお子さんがいる。彼らに笑いの神様が降りてくることを願い観察中である。