日本のお家芸の一つ、チームワークは進化するべき時
2020.11.15 23:55
最近、日本のチームワークは“日本らしさ”がなくなってきているのではと思う。
言い換えれば、乱れているとも言える。
チームワークは特にビジネスの世界で日本のお家芸だと思うが、そもそも、日本のチームワークとは何だろうか?
ベトナムなどの新興国でのビジネスを長くしていると、新興国のビジネスパーソンは、日本のチーワークについて強い関心があることを肌身で感じる。
特に、予想を覆し女子サッカーや野球のWBCで日本が勝った時などは、ことさら日本のチームーク力が新興国でも話題になる。
“流石、日本はチームワークでスポーツでも結果を出している”
“ビジネスで大成功してきたのもチームワークだから日本は凄い”
こんな理解ではなかろうか。
実際に、私もベトナム人の多くの社員教育を講師として担当した。その際には、チームワークをトコトン伝えてきた。その理由は彼らが一番関心を持っていて学びたいことだからだ。
日本のチームワークとはこういうものですよと、スポーツや社会的コミュニティを事例を交えて教える。そんな訳で、私の頭の中には、“チームワーク”は新興国に伝授できそうな日本のビジネスの技の上位に常にある。
日本独特のチームワークとは何か?を考えると奥が深い。
ベトナムには、日本人と比較して、こういう言い伝えがある。
大きな穴に3人が落ちたとする。日本人なら、3人で協力して穴から出れる。ベトナム人は個人行動なので、永久に穴から出れない。
これを日本サイドで考えれば、日本人はチームワークでピンチを乗り切る力がある。という嬉しい話である。一方、ベトナムはチームワークは必要がないぐらい個人が強い。と言いたいわけだ。自虐的なネタだけど、自分たちの自慢話でもある。
こういう習慣や行動規範の違いがあっても、日本のチームワークは学びたいと言うから不思議だ。
確かに、スポーツでの強さが際立った時の日本には、この話が良くあてはまる。
個人個人のフィジカルで強い外国人に勝つ時の日本人のパターンだ。それが日本人のチームワークの特徴として新興国などにも認知されている。
では、ビジネスではどうだろうか?スポーツとは違う。基本的にフィジカル面はほとんど関係がない。そうすると、仮に仕事の個人個人のスキルはどの国も同じとして、日本のビジネスにおけるチームワークで何が特別な成果につながるのだろうか?
トヨタに代表されるカイゼンを組織で実現することなのか?均質な接客サービスを全店共通に提供することなのか?
分かっているようで、子供の頃からの習慣にもなっている私たちが、日本の特徴を説明しろと言われるとなかなか難しい。
だけど、私も毎日のように仕事ではチームワークを意識している。
特に、プロジェクトの運営ではチームワークは必須だと思うし、そもそも、強い会社は属人的にならず個人に依存せずが基本だ。営業の世界でもそうだ。一人の突出した営業のプロよりも平均的な営業のチームの方が、中長期的には結果が良い。まさしくこれが日本的チームワークだと考えている。
話は変わるが、コロナ禍でも国民全体での日本人としてのチームワークが問われていると思う。日本の本来のチームワークの特徴を集約すれば、それは“和”だと思う。
調和、平和、協調など色々とイメージ浮かぶ。慮るも日本らしさである。
和をもって貴しとなす。という言葉がある。
聖徳太子の17条憲第一条である。
和をもっての響きは、とても日本らしい表現だ。
一般的には、和を大切にして仲良くしましょう。という意味で理解している。
しかし、少し調べてみたら、話し合いを重視しなさい、しっかり議論しなさいという別の深い意味もあるようである。
このあたりに、日本の成長のヒントがあるように思う。
そう考えると、最近、日本で話題になっている同調圧力も気になるところではある。
おおまかに書くと、日本は同調圧力を感じる国であるという論調が多いが、私はあまりそうは思っていない。私の自身は責任もって実際に好きなことを主張したり表現しているからだ。
グローバル社会が進展する中、日本国内も多様な世界の人達が生活する機会が増大している。
私は今、日本のチームワークを2つの側面でもっと掘り下げて自分なりに再定義しようと思っている。
一つは、コロナ禍の中で、世界から見ても日本人らしいチームワーク。これは大震災の時などに、日本が海外から称賛された言動に通じるものかもしれない。変わらず未来に伝承していきたいものである。