特集:土壌汚染に悩む事業者へ⑤~指定調査機関に聞く:㈱アースアプレイザル九州
指定調査機関㈱アースアプレイザル九州(指定番号2005-7-2013)
代表取締役 杉谷和彦さんに聞く
対象地域:九州地方
中小事業場等が土壌汚染に向き合う時のポイント等を土壌汚染対策法に基づく指定調査機関に聞くシリーズ。今回は、「地域の持続的発展を支援するため、安全安心・経済性・社会性の視点で環境問題を捉え、土壌汚染・廃棄物・アスベストなどの環境問題に対し最適なソリューションを提供する」ことを企業理念に掲げ、九州は福岡県福岡市を拠点に土壌汚染調査・対策のソリューションを提供しているアースアプレイザル九州(福岡市博多区博多駅東2丁目5-19サンライフ第3ビル3F)代表取締役の杉谷和彦さんに話を聞き、同社が考える中小事業場・工場、土地所有者が土壌汚染と向き合う時の課題や解決策に焦点を当てます。(聞き手:エコビジネスライター・名古屋悟<ECO SEED代表>)
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◆汚染土壌の搬出を行わず建物や駐車場下部に封じ込める工事も実現◆
聞き手: 御社は福岡市に拠点を置き、中小事業者等の土壌汚染問題に対して調査・措置で関わられてきたと思いますが、これまでに経験した中小事業者の土壌汚染調査・対策で印象的だった事例はどのようなケースがありますか?また、地域的に感じる特徴があれば教えてください。
杉谷氏:(九州地方では)自主的な土壌・地下水汚染調査を操業中に実施する例はあまりないようです。弊社が手掛ける事例では、土地取引に起因する調査・対策が多く、次に法第4条に基づくケースが多いですが、大手等と比べ、積極的に実態の把握や改善活動というスタンスの取り組みは一般的になっていないようです。
経験の中で印象に残っている事例としては、汚染土壌の場外搬出を行わず、建物や駐車場下部に封じ込める工事が実現できたことがあります。土壌汚染対策として高額になりがちである点や工事全体での温室効果ガスの排出量が多い点などが課題と言われている掘削除去・搬出処理がまだまだ主流である中、環境負荷の低減にも繋がる対策を行えたのは良い経験でした。
◆課題は社会的、時間的側面などからの制約が調査・対策方法の選択幅を狭めている現状◆
聞き手:これまでの経験を踏まえ、中小事業者の土壌汚染対策で事業者自身、制度などそれぞれで課題と感じる点はどのようなことですか。
杉谷氏:現況は、社会的、遵法性(ガイドライン)、時間的な側面からの制約が強く、当初から土壌汚染調査方法・対策方法の選択の幅が狭い状況に追い込まれているように感じています。
各土地の利用状況や周囲の状況等を踏まえ、土壌汚染が実際に健康影響に与えるリスク等に応じて、“除去が必要なのか?”、 “リスクは低いので管理対策で良いのか?”などを検討した上で、柔軟な対応ができるようになっていくと良いですね。
今、新型コロナウイルス感染症が世界で問題になっている中、感染を予防しながら日常生活を送る“ウィズコロナ”という考え方があります。土壌汚染でもリスクに応じて有害物質とどう付き合っていくかという考え方が広がれば、事業者や土地所有者にとって選択の幅もさらに広がるのではないでしょうか。
今の土壌汚染調査・対策の基礎になっている土壌汚染対策法ガイドラインは、モラルの醸成や土壌汚染技術者の育成等に欠かせないものです。これを大切にしながら、次のステップとして土壌汚染リスク管理工法が土壌汚染に悩む事業者や土地所有者の方々にとって除去工法等と同じような選択肢の1つになっていくような機運が広がるといいですね。そして、サポートする技術者も柔軟に変化していくことが大切なような気がします。
◆地歴等を診て早い段階でソリューション全体感を提案◆
聞き手:中小事業者の土壌汚染調査・対策において御社の強みを教えてください。また、対象エリアを教えてください。
杉谷氏:弊社は九州地域内をメインのエリアとして土壌汚染調査・対策事業を手掛けています。弊社の強みとしては、まず現地や地歴を診て、早い段階でソリューションの全体観をご提案することに努めています。
◆まずお奨めしたい土壌汚染の実態把握◆
聞き手:事業を行っている場所で土壌汚染の可能性があって悩んでいる中小事業者等へのアドバイスを。
杉谷氏:悩まれている事業者の皆様には、まず土壌汚染の実態を把握することをお奨めしたいですね。専門機関にご相談いただければ、対策方法や対策範囲、目標濃度、目標期間等も見えてきます。
私たちは専門機関として、事業活動と調和性のある対策をご提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。(終わり)
※㈱アースアプレイザル九州のホームページは以下アドレスを参照ください。