サロンの女王3-ポンパドゥール夫人登場
2021.02.26 09:28
フランスも戦争による財政の悪化に悩まされる。財務大臣ダルヌヴィルは、貴族、聖職者も含む20分の1税を提案した。しかし双方から猛反対。新税は、導入されたものの骨抜きになり、高等法院は何かにつけて、王に抵抗する。父ルイ14世の時代とは隔世の感がある。
政治が面倒な王の楽しみは愛人だった。そして1745年から愛人となるのが、有名なポンパドゥール侯爵夫人である。彼女は実は銀行家の娘で平民だが、身分の低い彼女を愛人とするため、領地と称号を与えた。そんな売官は、この時代のフランスでは朝飯前である。彼女は絶世の美貌に加え頭も切れた。
夫人は、ヴェルサイユの3階に住み、宮廷儀礼に疲れた王をもてなした。身体上の理由から性的関係が切れてからは、王に新しい愛人をあてがっては、自分の権力を保持した。そして湯水のように金を使い、自分の邸宅を建てた。現大統領官邸のエリゼ宮もその一つである。
もっとも彼女は、文化、芸術を庇護し、自分のサロンに啓蒙思想家を通わせていた。そして彼女の好みもあって、豪奢華麗なバロックから、繊細で優美なロココ芸術が生まれ、陶磁器セーブルが生まれた。彼女は政治にも堂々と介入し、宰相をも推薦することになる。