運命のボタン
宇宙人が律儀にドアノブを捻ったり、カメラへの映り方が「悪霊が映り込んでしまった呪いのビデオ」めいていたりと、サービス精神旺盛なことで有名な映画と言えば、「サイン」である。
今作もサービス精神旺盛な宇宙人が出てくるタイプの映画である。え、ポスターから「宇宙人感」が出てこないって? まあ、だって。別に宇宙人がやることでもないっていうか、「超常的な力を用いて電話アンケートを行っています」みたいなそんな感じなものでして……。ところで、これもまたシネマスコア「F」の映画である。シネマスコアが「F」だが、普通に映画が上映されたりしている事例を見かけると、上映が中止された「マザー!」が一体なんだったのか。という気持ちにならないわけでもない。
内容としては「押したら100万ドル手に入る代わりに、なんか知らない人が死ぬ」スイッチを渡されたキャメロン・ディアス。不気味だわ~と思いつつも、足の手術代とか息子の学費とかでお金がなかったキャメロン・ディアスはそれを押してしまう。ところで原作の短編小説では五万ドルらしいから、なんか知らない人の命の値段が高まったことになるね。
こういう系で税が引かれたらやだよ。
それでなんか知らない人が死んだっぽいんだけど、さすがに不気味に思ったキャメロン・ディアスとその夫はスイッチを渡してきた謎の男について調査を始めると、なんかすげえこっちを見ながら鼻血を出す謎の集団に狙われるようになる……。
まあなんというか、原作小説が「押したらお金がもらえるけど人が死ぬボタンを押したら、夫が死んじゃった」という短編に対して、それを2時間の映画にするために「宇宙人の仕業にしたろ!」と追加したせいで、「宇宙人が押したらお金がもらえるけど死ぬボタンを人に配っている」という、なんか「な、なんでそんなことを……?」と思うようなことをし始めたことになってしまって、制作陣もさすがに「なんで?」と思ったのか理由を足したけれども、「『そんなボタンを押すような人類は滅ぼすしかないでしょ!』実験をしていたのだ」という、なんともみみっちいというか、宇宙人も足でデータを集めるのか……となっちゃう映画に仕上がってしまった、ちょっと残念な映画だ。
まあでも、「宇宙人が押したら人が死ぬけどお金をくれるボタンを人に渡している。理由は謎」だったらまあまあ短編でみかけるような気もしないでもない。短編向けの題材だよね。やっぱり。
シネマスコアFを3作観たのでやっぱりそろそろA+を観るべきだと思うんですけど、今更「ET」とか「ロッキーⅢ」とか「スターウォーズエピソード4」とか「アラジン」とか観たいっすか? と言われると、ちょっと困る