平等主義基本論文集 epubダウンロード
平等主義基本論文集
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内容紹介 格差原理と運平等主義、民主的平等または関係性平等主義、優先主義に十分主義。平等をめぐる5つの立場を代表する5論文を収録。 内容(「BOOK」データベースより) 格差の何が問題なのか。格差はそれ自体望ましくないのか。それとも、格差はそれ自体望ましからざるわけではなく、格差が社会にもたらす影響が問題なのだろうか。もし、格差がそれ自体望ましくないなら、それは不公正だからなのか、それとも不正義だからか。あるいは格差自体が悪なのか。こうした問いを考えるための最重要論文5編。 著者について 広瀬 巌(ひろせ いわお) セント・アンドリュース大学(イギリス)にて博士号(Ph. D)取得. 現在, マギル大学(カナダ)哲学部および環境研究科准教授. 著書にEgalitarianism(Routledge, 2015)〔齊藤拓訳『平等主義の哲学――ロールズから健康の分配まで』勁草書房, 2016年〕, The Ethics of Health Care Rationing: An Introduction(共著, Routledge, 2014)〔児玉聡監訳『誰の健康が優先されるのか――医療資源の倫理学』岩波書店, 2017年〕ほか. 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 広瀬/巌 セント・アンドリュース大学(イギリス)にて博士号(Ph.D)取得。マギル大学(カナダ)哲学部および環境研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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平等主義を巡る重要な未邦訳論文を収めた論文集。「平等」という概念の明確化、そして我々の目指しているのはどの「平等」なのか、あるいは実は目指していたのは「平等」ではなかったのではないか、という点が、本書の議論を読んでいくことで明らかになっていくだろう。本書中で恐らく一番重要な論文は、パーフィットの優先主義の論文であろう。この論文によって、平等主義者が目指していたものは実は平等ではなかったことが明らかにされ、実際多くの平等主義者はこの論文以降優先主義者に鞍替えしてしまったという。パーフィットはまず平等主義を目的論的平等主義(結果生じるものは平等であるべき)と義務論的平等主義(我々は平等に取り扱う義務を持つ)に分け、前者はさらに平等を道具的価値(何らかの良い結果のために平等が必要)と固有の価値(平等自体がよいもの)とに分ける。義務論的平等主義は不平等という「事態」ではなく「不平等を生じる手続」に不正義を見出すものだが、そうすると多くの人が関心を寄せるであろう「自然に生じた不平等」は完全に射程外とる。例えば「我々が財を分配した場合」と「財を分配しようとしていたら、風が吹いてきて勝手に分配されてしまった場合」とで扱いが異なることになる。目的論的平等主義全般への強い批判としては「水準低下批判」がある。これは、恵まれた人の境遇を悪くすることがよいことになる、例えば盲目の人がいる世界で目の見える人の目玉をすべて抉り出すことは、誰も得をしないが「より平等になった」がゆえによいこととされてしまう、という批判である。パーフィットは、平等主義に代わって、「境遇の悪い人ほど、その人の利益は重要なものとなる(優先される)」という「優先主義」を提唱する。これは、多くの人が平等主義において直感的に抱いていた気持ちをきちんと叶えるものであるとともに、「その人の境遇の絶対的な水準」と「その人の利益」だけで考察は行われ、どのくらいの優先度でその人の利益は考慮されるべきかが決まるので、平等主義やその他の相対的な評価法とは優先主義は区別される。ただし、穏健な多元的目的論的平等主義(平等以外の価値も認める)に対しては、水準低下批判は有効でないかもしれない。その場合には、「誰にとっても悪くない帰結は、悪くないものだ」という「人格影響説」を用いて反論したくなるかもしれないが、パーフィットはこれはそこまで強力な基礎はないとしている。その例として挙げているのは、犯罪人を罰するか野放しにするかの例であり、応報というのはこの考え方の外にいるのである。クリスプの十分主義の議論は、優先主義を発展させたようなもの(優先の妥当する水準を低い水準に制限している)と理解できるので、このラインに乗っていると言えよう。彼は必ずしも優先主義の方が必ず良いと述べているわけではないが、しかし論点の整理として非常にきれいであり、また必ずしも我々の目指していたものが平等ではなかったということを思い起こさせてくれる。これを読んだ後だと、他の論点が非常に細々したものにも見えてきてしまう。「平等」に関心のある人は、まずは本書中収録のパーフィット論文を読んでみるといいだろう。