はとバスの珍車シリーズ① 692
はとバスの珍車シリーズ① 692
この数字は、何だと思いますか。実は、この数字はかつてはとバスに1台しか導入されなかったバスが付けていた車番です。通常、はとバスでは同じタイプを最低でも2台、場合によっては数年かけて何十台も導入しますが、このタイプは1台に留まってしまいました。その車両とは、1976年に導入されたいすゞCRA580というモデルで川重の車体を架装していました。いすゞのCRAシリーズはV10の強力なエンジンを採用した観光バスの新シリーズでしたが、この年には従来の直6エンジンを搭載したBUシリーズと平行して導入されました。1976年には、はとバス初の全長12mのバスが登場しています。合計6台導入されましたが、内訳は三菱ふそうMS513Rが5台(車番671~675)、いすゞCRA650(同691)が1台で、いずれも富士重の車体を架装していました。一緒に運行できるよう、シャーシは違えど同じボディを架装したのだと考えられます。同等の理由で、従来車のBUと同じサイズの「692」は、共通デザインのボディで導入されたと思われます。パット見ただけではホウィールキャップの有無くらいしか識別点がありませんでしたが、日産スカイラインGTR同様、羊の皮を被った狼のようバスでした。1976年のCRAシリーズは650と580の1台ずつの導入でしたが、CRA650は1977年に違うボディを架装して登場、歴代のはとバス車両でも注目に値する代表車種となりましたが、CRA580の導入はこの車両が最初で最後でした。ちなみに、1976年はクリームと赤のデザインの新車が導入された最後の年でした。
写真① はとバスでは1台しか導入されなかったいすゞCRA580。川重のボディを架装した外観は、従来から導入されていたいすゞBU20KPとほぼ同じです。
写真② 従来から導入されていたいすゞBU20KP。
写真③ 692と同時に導入された691は全長12mのいすゞCRA650でした。他の12m車は三菱ふそう製であった為、三菱ふそう車と同じ富士重のボディを架装していました。
写真④ 691とほぼ同じ外観の三菱ふそう車。こちらは5台導入されました。
写真⑤ 1977年に導入されたいすゞCRA650。前年導入の691とは異なり、川重製のハイデッカーボディを架装していました。「ニューデラックバス」としてはとバスの看板車輛として活躍しました。
~次回「3軸のバス」予定~