民法条文整理 第37条 2021.03.01 23:25 第37条(外国法人の登記) 1. 外国法人(第35条第1項ただし書に規定する外国法人に限る。以下この条において同じ。)が日本に事務所を設けたときは、三週間以内に、その事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記しなければならない。一 外国法人の設立の準拠法二 目的三 名称四 事務所の所在場所五 存続期間を定めたときは、その定め六 代表者の氏名及び住所 2. 前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、三週間以内に、変更の登記をしなければならない。この場合において、登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。 3. 代表者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その登記をしなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。 4. 前2項の規定により登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間は、その通知が到達した日から起算する。 5. 外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは、その事務所の所在地において登記するまでは、第三者は、その法人の成立を否認することができる。 6. 外国法人が事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に第一項各号に掲げる事項を登記しなければならない。 7. 同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。 8. 外国法人の代表者が、この条に規定する登記を怠ったときは、五十万円以下の過料に処する。重要度:3解説等:メモ書き民法第37条第1項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人の登記事項について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものは、日本に事務所を設けたときは、3週間以内に、その事務所の所在地において、次に掲げる事項を登記する。1. 外国法人の設立の準拠法2. 目的3. 名称(法人の正式名称)4. 事務所の所在場所5. 存続期間を定めたときは、その定め6. 代表者の氏名及び住所※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用される(第37条第8項)。(外国法人とは)※外国法人とは、内国法人=日本法人=日本の準拠法で設立された法人以外の法人をいいます。⇒ただし、本項においては、第35条第1項ただし書に規定する外国法人=「法律又は条約の規定により認許された外国法人」のことをいう。民法第37条第2項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人の変更登記について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものは、第37条第1項に掲げる事項に変更を生じたときは、3週間以内に、その変更の登記をする。※この場合、登記が完了していなければ、変更した事項について、第三者に主張することができない。※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用される(第37条第8項)。(対抗することができないとは)※対抗することができないとは、第三者に対して自らの主張を相手に認めさせることができない、ということです。※本項において、第三者に対して対抗することができないとは、第三者に対して、変更した事項について認めさせることができない、という意味になります。民法第37条第3項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人の代表者の職務執行の停止について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものは、代表者の職務の執行を停止したり、代表者の職務を代行する者を選任する仮処分命令があったり、またはその仮処分命令の変更や取消しの決定があった場合は、登記をしなければなりません。※この場合、第37条第2項の後段の規定により、登記が完了していなければ、代表者の職務執行の停止等を第三者に主張することができません。※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用される(第37条第8項)。民法第37条第4項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人が登記すべき期間の起算点について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものは、第37条第2項と第37条第3項の規定により登記すべき事項が外国において生じたときは、登記の期間は、その通知が日本の事務所に到達した日から起算する。3、日本国内で登記事項について変更が生じた場合と違って、外国で登記事項について変更が生じた場合は、その通知が到達するのに時間がかかる可能性があるからです。※このため、その登記事項の変更の通知が日本の事務所に到着した日から登記すべき期間を計算します。※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用されます(第37条第8項)。民法第37条第5項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人の登記の否認について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものが初めて日本に事務所を設けた場合であっても、その事務所の所在地において登記をするまでの間は、第三者は、その法人の成立を否認することができます。※つまり、第三者としては、外国法人が日本国内に事務所を開設しようとも、登記をしていなければ、法人としては認める必要はない、ということです。※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用される(第37条第8項)。民法第37条第6項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人の所在地の移転について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものが事務所を移転した場合は、旧所在地で3週間以内に移転の登記をしたうえで、新所在地で4週間以内に第37条第1項各号に掲げる事項を登記をする。※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用される(第37条第8項)。民法第37条第7項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、同一の登記所(法務局等)の管轄区域内の事務所の移転について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものが、同一の登記所(法務局等)の管轄区域内の事務所を移転した場合は、前項とは違って、第37条第1項各号に掲げる事項のうち、事務所の移転のみを登記しなければなりません。※なお、本項に違反して登記がなされなかった場合は、罰則が適用される(第37条第8項)。民法第37条第8項(外国法人の登記)解説(趣旨)1、本項は、外国法人の登記の規定に違反した場合の罰則について規定。2、外国法人のうち、第35条第1項ただし書に規定するものが、第37条の各項に規定する登記を怠った場合は、50万円以下の過料が課されます。(過料とは)1、過料とは、金銭の支払いが伴う罰則の一種をいいます。過料には、罰則を課すことにより、義務を履行を強制する効果があります。2、刑罰とは異なりますので、刑法総則や刑事訴訟法は適用されません。また、過料に処されたとしても、いわゆる「前科」はつきません。※なお、刑罰の一種である科料と同じ発音(かりょう)であるため、過料を「あやまちりょう」、科料を「とがりょう」と読むこともあります。※本項においては、過料を規定することにより、登記を間接的に強制する効果があります。