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質問への追加回答

2021.03.02 03:06

国際関係

現地の歴史、価値観、人々の意識を理解せずに、自分たちの価値観に基づいて、シリアで起きていることの是非を「上から目線」で判断するという意味で「もてあそび」という言葉を用いました。また、これはあくまでも私見ですが、シリアで起きていることは、その是非にかかわらず、国際社会の一部を構成していますので、国際社会が承認する、しないという問題ではないと考えています。
拷問は確かに心が痛む問題ですが、それがシリアの司法のもとで禁止されているかいないかという視点をまず持つこと、そしてその是非についてシリアの世論においてどのような意見があるかを網羅することが必要なことと思います。こうしたことを行わずに私たちの価値観を押しつけるかたちで、拷問をやめるべき、と言い放ってしまうことは避けたいところです。ちなみに、拷問は、すべての当事者が行っています。
人道に対する罪は、国連安保理での決議に基づいて対処する必要がありますが、それができないということは、国際社会において、シリアでの人道に対する罪についてのコンセンサスがないことを意味します。R2Pについては、正しいと見なす意見がある一方で、内政干渉(つまり正しくない)と考える意見もあります。
ご存知の通り、シリアではすべての当事者(国内外問わず)が国際人道法に抵触する行為に及んでいることを非難されています。干渉国による国際人道法への抵触にていて、それ以外の当事者のそれとともに対処するという姿勢のがあるべき姿勢だと思います。
理想はともかく、現実問題として、分断の脅威は今後も続きます。それにどう対処するのか、そしてその際に統合的なアイデンティティがどう提示されるは、一義的にはシリア人の問題ですが、国民国家形成の困難に対処するためのもっとも現実的なアイデンティティは、シリア人としての意識だと考えます。

戦況

占領地において目につくのは、米主導の有志連合が各所に駐留している北・東シリア自治局支配地域、フール・キャンプでの殺人です。多くの場合は「正体不明の武装集団」の犯行です。

参考:青山弘之「シリア人権監視団は2021年2月のシリア国内での戦闘による死者が476人を記録したと発表」(シリア・アラブの春顛末記:2021年3月1日)

両支配地の境界で先発的な砲撃を続けています。
完全勝利は現時点ではきわめて困難です。
あります
リビア、アゼルバイジャンに多くの傭兵がいました。両国の武力紛争が小康状態・終息したので、帰国が続いていると報告がされる一方、現地にとどまっている、別の国に転戦したとの情報もあります。

国内状況

その意義ですが、その是非はともかくとして、シリアを含む中東における宗教(とりわけイスラーム教)のあるべき地位について、欧米諸国におけるステレオタイプからの脱却を提言しているところにあります。

参考:青山弘之「シリアのアサド大統領が提唱するイスラーム教とのあるべき向き合い方とはどのようなものか?」(Yahooニュース:2020年12月16日)

彼の覚悟はともかくとして、多文化共生がシリアの良いところであり、それをめざそうという人は、政治的立場を越えて多くいます。
問題は大統領個人の意思を越えている問題だと考えています。
シリア国内、そして難民・移民が暮らす国には、メディアで伝えられるような悲惨な状況があるのは言うまでもない事実です。また、インフレ、物不足も深刻です。とはいえ、それがすべてではないこと、困難はあるもののたくましく生きていることは、SNS、フェイスブックから多くのシリアの人が発信する情報から見て取ることができます。
「シリア市民」とひとくくりで考えることはなかなか難しいですが、社会全体として課題になっているのは、食料の安定的な供給だということは、私の研究上のカウンターパートのシンクタンクの意見です。
どの時点を「元」というのかにもよります。また、アレッポがアレッポ市かアレッポ県かにもよりますが、2011年以前に戻ることは現状では不可能です。アレッポ市は郊外を含めて昨年に戦闘が完全に終わりましたので、復興が進んでいますが、制裁でそのペースは緩やかです。アレッポ県は北半分をトルコに占領されています。
政府の支配下に入った都市の一部では復興は進んでいますが、制裁、コロナ禍、レバノン経済破綻の影響で緩やかです。
難民、IDPsは少しずつですが帰国しています。
卵が先か鶏が先かの議論になってしまいますが、教育は社会成員が作り出すものですので、社会が変わらなければ、教育は変わりませんし、教育が変わらなければ社会も変わらないと思います。
コロナ禍の現状では困難です。