家庭血圧の重要性 (2) 下の血圧と夜間高血圧
当院で定期購読しているでNHKの「きょうの健康」があります(石狩市、福島医院の福島啓先生の真似をさせていただきました)。新しい情報もとても分かりやすく書かれており、自分たちも大変勉強になります。
2021年2月号で下の血圧(拡張期血圧)について興味深い記事がありました。「高血圧治療ガイドライン2019」に寄りますと、75 歳未満の方の家庭血圧の目標値は 125 / 75 となりますが、この場合 75 が下の血圧になります。下の血圧は、上の血圧と同様に高いと、脳卒中や心臓病が起こるリスクが高くなると言われています。そのままにしておかずに治療が大事となります。
心臓の拡張期とは、大動脈弁(*)が閉じられ、心室が弛緩し血液が充満している状態です。 (*大動脈弁:左心室と大動脈を隔てる弁)
心臓から連続する太い血管は、高い血圧にも耐えられるようにクッションのように弾力性に富み、収縮期には広がり、拡張期にはゴムのように元に戻ろうとします。この元に戻ろうとする圧力により、血液をさらに末梢に送り出します。
拡張期血圧が高くなるのは、心臓から遠い細い血管(末梢血管)が動脈硬化により硬くなっていくために起きてきます。拡張期血圧のみが高い場合は、末梢血管の動脈硬化はあるが、太い血管の弾力性は保たれている事が考えられます。肥満、運動不足、喫煙者などの方や、若年者の二次性高血圧が原因と予想されます。
その後加齢と共に、大動脈(太い血管)の動脈硬化も進展していくと収縮期血圧の上昇と共に収縮期血流も増加するため、拡張期血圧は低下し、拡張期の血流は低下します。
このように高血圧は、最初は拡張期血圧優位の高血圧になり、いずれ収縮期・拡張期の両者が上昇する高血圧へ、さらに収縮期優位の高血圧へ変遷することになります。対応としては、生活習慣(減塩、脂質、減量、運動、節酒、禁煙)を見直すことと二次性高血圧の精査が大切になります。
一方で上の血圧には薬が効いても、下の血圧だけなかなか下がらないということは少なくありません。原因の多くは「肥満」のようで、肥満がある人は、高血圧の薬をのんでも下の血圧が下がりくいことがあるようです。肥満がある場合は、減量が勧められます。
また、先日アップした夜間高血圧がある人も、下の血圧が下がりにくいことがあるようです。夜間高血圧は背景に腎臓病、心臓病、睡眠時無呼吸症候群などがあり、危険な高血圧と言われています。夜間高血圧の場合、背景にある病気の治療や服薬のタイミングをずらすなどの対応を、医師と相談しましょう。そのためにも起床時の血圧測定は大変重要となります。
先ほど肥満がある場合は、減量が勧められましたが、原因が食べ過ぎの場合は注意が必要です。腸と腎臓は体にとって大切な糖と塩分を、たくさん取り込もうとする性質をもつ ” 貪欲な臓器 ” だからです。 しかも、糖を多く取り込むとき、同時に塩分も多く取り込んでしまう仕組みもあるためです。つまり、糖をたくさん摂取すると、同時に塩分もたくさん体内に入ることになり、血圧が高くなってしまいます。そのため、メタボのある人が高血圧を防ぐためには、糖分を摂り過ぎ過ぎないようにすることがとても重要になります。
ところで、当院は篠路にある内科ですが、篠路は雪がよく降ります。これは本年 2 / 24 (水) の朝の写真です。当院は先代からのお付き合いで除雪作業を丸研山内組さんと契約しています。通常は早朝に除雪が入り、自分達は玄関前をスコップで雪はねする位で終わります。しかし、この日は大雪のため除雪作業が間に合わなかったようで、診察前からスタッフと一緒に雪かき作業に追われました(JRも大変でした)。ここ数年、ママさんダンプを出すことは無かったのですが久しぶりに活躍してくれました。自宅での雪かきをされた後に職場の雪かきも手伝ってくれたスタッフにも感謝です。