東横線軌道に足場が倒れた件に思う
昨晩、東横線自由が丘駅近くの工事現場でビルの新築工事中の現場の足場が東横線軌道に倒れました。東横線は昨晩から今日の昼過ぎまで武蔵小杉―渋谷間で運休となり、多くの通勤客などの足に影響を及ぼしました。
東急線の中でも利用者の多い東横線を半日以上も止めたとなれば、建設会社に対する補償などもかなりの額になるはずです。一方で、人的被害が出なかったのは不幸中の幸いと言えるかもしれません。
かつて、自分は建設会社の営業マンでしたが、自分が担当している現場での事故やトラブルもいくつか経験しました。
当然、現場は事故を起こそうと思っているわけではありませんし、現場では事故を未然に防ぐ努力も行っているでしょう。現場を管轄する部署では気象災害など事故につながるおそれのある事象が予見される場合には注意喚起を促します。台風が来るときなどはしっかり対策をしたうえで、現場の誰かが泊まり込み、定期的に巡回するなどします。
ところが、その指示内容について指示を出す人、指示を受ける人それぞれの立場でやるべきことが違い、指示の出し方、受け方によってはその指示が有効に機能しないことがあります。
以前私がいた会社でも、「本社から竜巻注意報が出てるから気をつけろ」って指示が来たけど何をどうすればいいんだ!」と吠えている人がいました。(笑)
昨晩は強風が予見されていました。
このようなときには足場がかかった現場では倒壊もあり得ることから、それを防ぐためにシートをたたみ、足場にゆるみがないか、固定状況の確認などの措置を取ります。ところが、昨晩の事故現場では防塵シートと思われるシートがそのままの状態になっていたことが写真からも確認できます。
施主はそのビルを今後も維持し、テナントや周辺住民と付き合っていくことになります。
今回の事故で、新築中のビルのオーナーは地元で「ああ、あの電車を止めた事故を起こしたビルね」と言われ続けることになるでしょう。
突然やってくる地震などと異なり風雨による災害は100%防ぐことは難しいかもしれませんが、ある程度予見可能です。
今回の事故で建設会社が現場にどのような指示を出し、どのように対策していたのかはわかりません。しかし建物を施工する会社はただ作るということだけでなく、施主の立場や周辺の状況をよく理解し、施主に、地域に喜ばれる建物を作らなければいけないということを改めて考えさせられた事故でした。