1月(2021年)のIAU(国際天文学連合)リストの流星群活動チェック
先月に引き続き観測結果を整理した。国内からは見えない南天(注)に位置するものや、昼間に活動する流星群をのぞいた60個群を対象にして、河越10夜1630分、斉藤5夜1140分の合計15夜2770分データを分析した。その結果は僅か7個群の弱い活動しかなかった。
IAUリストの有効性
このような観測事実をもってすると、このIAUリストは観測者にとってどのような利点があるのか疑問がわく。観測者を適切にガイドしてくれる手助けになっていなければ有効性は感じられないように思う。Working list of meteor showersと銘うっているから流星群活動リストと翻訳できるものの、実情は放射点リスト(list of meteor radiant points)と見るのが妥当だ。放射点がわかり軌道要素が計算されていても流星群とは限らない。率直に言えば散在流星にも放射点があり軌道要素も求まる。このリストを信じて流星群観測をすると適切な判断ができないのではないかと懸念する。
観測に際しての注意点
(1) 新しい流星群や小さな流星群の観測は、その放射点位置を意識すべきではない、とはよく指導を受けるところであるが、まさにその通りだ。位置を知っていると意識的になんでもない流星を所属流星にしてしまう過ちは多くの流星観測者が経験している。筆者はそれを恐れているので詳細な位置は予めインプットしないで観測にあたっている。今後もその方針で実施する。
(2) 所属流星の判定。IAUリストは近い範囲に多数の流星群が存在しているから、複数の流星群を串刺しにしてしまう場合がある。眼視観測はその分離ができないのが弱点である。この場合はそれぞれに可能性があるのでポイント1を与える。存在が確実なら多数の所属流星がみられるのでポイントは自然に5に増すので過剰付与にはならない。以上(河越彰彦)
※注 南天の流星群観測の難しさについて。流星捕捉率は放射点仰角90度(天頂)が最大で仰角0度が最小であるが、捕捉率最小は0ではない。概ねsin(Kcos(仰角)+仰角)とみなすことができる。(Kは定数) Sin関数は仰角が小さくなると、さらに低い値になる。赤緯-35度以南は仰角が20度以下になり捕捉確率は0.3を下回るようになので対象から外した。