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Baby教室シオ

偉人『ココ・シャネル』

2021.03.05 00:10

我が家のバニティーを開くといつも目に入るシャネルのパヒュームボトル。海外に行くとなぜか夫婦で求める癖があり、選んでいるときの会話を思い出しながらふと今回の偉人はココにしようと決めた。


彼女の名前は『ガブリエル・ドヌール・シャネル』言わずと知れたフランスのファッションデザイナー ココ・シャネルのことである。一見華やかな人生を歩んできたようにも思うが、実はアイデンティティーすら揺れ動かす苦労人であり、苦難の末に成功を手にした強靭な女性である。彼女の人生を知るときな臭さを感じ嫌う人もいるが、『自分の人生は自分で作り上げる』という信念を貫いたことに興味を抱く。

今回は彼女が人生を切り開くことができたのはなぜなのかを幼少期から想像してみることにする。

シャネルの父は行商人、母とは結婚せず5人の子供をもうける。しかし彼女が11歳のとき母が結核で亡くなると父は弟たちを農家の養子に出し、姉とシャネルを孤児院に妹を親類の家に預けた。実際は捨てられたようなもので孤児院に連れて行った日以来父は姿を消した。その後彼女は孤児院と修道院で裕福な寄宿生の子女と孤児達が生活を共にする今では考えられない環境下に身を置いた。そして彼女は両者の人生差をまざまざと見せ付けられた少女期を過ごしている。人は生まれながらにして裕福とそうでない人生があることを知ったのだ。

それ故シャネルは特別な人間になりたい、自分という人間を認めさせることに強い拘りをみせた。そうその思いこそが反骨精神の現れでモード界を立ち上げた原動力になったのである。


シャネルは規律を重んじる修道院生活で不自由さを感じ気持ちの赴くまま行動し手のかかる子供であった。しかしそれは彼女なりのファッションセンスを表現したものであった。不自由さの中で自由を求め自立心を芽生えさせ、その思いはやがてコルセットを外し動きやすい服装で生きる女性やその地位向上にまで影響を及ぼす。また修道院での生活では白と黒の色彩学を学び、喪服であった黒をモードにまで押し上げ色に対する観察眼で意識改革を行った。

では子供に観察眼を身につけさせるにはどうすればいいか。最初の観察眼の種蒔きは母親の顔をじっと見ることから始まる。親子で視線を交わし互いの表情を読み取る日々の学びが必要だ。そして母親の発する声に耳を傾け注視させる段階に入り、更に呼びかけに対し応える(顔を母に向ける、視線を上げる、返事をする、指示方向を見る・・・)などの対応を習得させる。そうなれば観察眼の土台は築かれていく。導くための具体的な方法はいろいろあるが、先ずは子供の聴覚を利用し音を出して引き付ける方法をとればよい。

また観察眼と共に必要になるのが洞察力だ。

観察眼とは目に見えるものを見る力であり、洞察力とは目に見えない部分の本質を見抜く力だ。例えば会った人が元気なさそうだと見たままを読み取るのが観察力、元気がなくて顔色も悪い、もしかすると風邪でも引いたのではないか、無理して仕事しているのではないかと予測するのが洞察力だ。子供に洞察力を身につけさせるには3歳頃から『どうして、なぜ、その理由は、深く考えてみよう、調べよう』などの働き掛けが必要になるのだ。

話をシャネルに戻そう。実は彼女、自身の出生や生い立ちを必死で隠していた。よってどのように成長したかを詳しく知る術はない。ただいえることは確実に幼い頃に観察力の土台は築かれ、裁縫の技術も持ち前の観察力で磨き上げたといえる。また現状を把握し、それに付随する様々なことを整理分析し、天性の発想力と美的センスを武器に人とは異なる奇抜なデザインで彼女が願った頂点の高みを目指したのである。まさに観察眼と洞察力に優れた人物である。

しかし跳びぬけた観察眼と洞察力を持ってまでしても埋められないものを生涯持ち続けていた。

彼女の晩年はわがままで孤独な老女として捉えられている。「私の人生は楽しくなかった。だから私は自分の人生を創造したの。」彼女の言葉からも分かるように自分自身の生れや育ち、プライベートの充足感がなかった。その欠けているパーツを覆い隠すように仕事で人生を縫いつくし新しい人生の装いに仕立てたのだろう。

彼女は日曜日が嫌いだった。その理由を「日曜は働かない(働けない)から」と答えていたが、実は預けられた孤児院では日曜が親子の面会日だった。シャネルは一日中面会室の近くで父が訪れることを待っていたという。姉に諭され父に捨てられたと理解してからは日曜が大嫌いになった。彼女の願い通り父が面会に来ていれば彼女の心の欠けはできなかったのかもしれないし、日曜が嫌いになることもなかった。少女のときに味わった痛みは亡くなる87歳まで続いたのである。

人生いろいろ、何が幸せかはその人の感じ方で決まる。規格品の人生ではない彼女の人生は、モード界の女王となるべくして与えられたものだったのかもしれない。

しかし我が子にだけは味わってほしくない人生だとも思う。反骨精神は負から物事の本質を読み解き生じるエネルギーで、できれば同じエネルギーでも上を目指そうとするハングリー精神や愛情に満ちた心のエネルギーが湧く子育てを心掛けたいものだ。

シャネルは「人生が分かるのは逆境のときよ」とも語っている。世界が困難な時期にあるときだからこそ、子供を育てることの意味を考えてシャネルの言葉を深く考えたいものだ。