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KIMURA HARUKA

「女の足の裏の話」②

2015.09.04 05:15

①でも述べたが、女の足の裏にそのような硬い皮の滞りが発生するのは、大抵ヒールを履いてこのコンクリートジャングルを歩き回るのが原因である。


私もかつてはそうだった...

それは、私がまだ声優としてアニメーションへの出演を主な仕事としていた頃。

背の低い私は、男性キャストと同じマイクを使うため、いつも7~10cmのヒールを履いていた。

(それでも全然足りてないのだけど...)


しかし、ヒールを履くのは、そういった実用的な理由だけではない。ただ単に「格好つけたいぜ」というのももちろんある。

ヒールを履いて、実際以上に足を細く・長く見せたいわけだ。


その一方で、私は無邪気に散歩を愛しすぎてもいる。到底ヒールでは歩かない距離をのしのし歩き続ける。


「新宿なう。時間あるから恵比寿まで歩くお!」


だれも着いてきてくれないので、ひとりひたすら歩く。のしのし。


その結果...


(これからやや痛い話をしますよー!)


足指が靴中の狭いつま先へと押入れられ、全体が中心を向くように丸く変形する。

・足裏に硬い皮ができる。

・圧迫された爪が割れたり、二枚爪になる。

・小指がマメだらけになる。


ということになるわけである。


そんな私が、30代に突入する頃...

主な仕事のフィールドをナレーションに移したこともあり、ひとまず「ヒールを履かなければならない理由」はなくなった。

(ナレーションの収録は、ひとりでマイクの前にお座りスタイルで行われることが多いです)


「美しい足」や「かわいいお洋服」への自分の考えも自然に年を重ねた。


毎日高いヒールで歩くのをやめてほんの数年...

気付くと、私の足の裏の硬い皮は自然に解消されていたというわけだ。


今もヒールをまったく履かないわけではないけれど、「お散歩できる高さと構造」をよく考慮するようになったし、スニーカーやぺたんこの靴も愛用している。

当たり前だけど、スニーカーやぺたんこの靴は歩くのがとても楽で、いつまででも歩けるし、走ったりもできる。


体の短い私がみっともなくないように、スカートや靴下の丈を研究した。


年齢を重ねて、

美について妥協したのではなく、
むしろ美は...広がったように感じている。


相変わらず、オシャレはとても楽しいのである。


...


けれどその日、

つるりと柔らかになった足裏に気づいた私は...


20代の在りし日々、

ヒールに助けてもらって、

東京の街を、背伸びして、

格好つけて歩いていた自分を思い出し、

すこししんみりもした次第である。


おしまい。

猫の足裏はこんな感じでいつでも健やか。

ピンぼけだけど。