「俺らにとって、地元で遊ぶことは曲作り」KANDYTOWNインタビューpart1 後編
(上段左からRyohu、BSC、下段左からKIKUMARU、GOTTZ)
地元でレコーディングを繰り返し、その制作と完成の過程を楽しんでいたKANDYTOWN。それで満足だったが、YUSHIの急逝、STREET ALBUM「BLAKK MOTEL」の反響などが徐々に彼らのマインドを変えていく。そんななかで舞い込んだのがメジャーレーベル、ワーナーミュージックジャパンからのオファーだった。
Ryohu 今回ディレクターとしてアルバム作りに関わってくれたOKAMOTO’Sのオカモトレイジを通じて話があったんだと思います。実は俺らも細かいところはよく分かってないんだけど。クルーとしては「KOLD TAPE」と「BLAKK MOTEL」を作って、「次はどうしよう?」っていうタイミングだったんです。メジャーから出すってきっと良いことも悪いこともあると思ってたから、メンバーでじっくり考えて最終的にオファーを受けることにしました。
19歳でメジャーデビューし今や日本を代表するロックバンド、OKAMOTO’Sのメンバーであるオカモトレイジ。KANDYTOWNのYUSHIとRYOHUはOKAMOTO’Sの前身バンド、ズットズレテルズのメンバーでもある。彼らは幼馴染みだ。さらに制作面でも力強い大人がサポートしてくれた。数々のヒップホップ音源におけるミックスやエンジニアリングを担当してきた、illicit Tsuboiである。
Ryohu ツボイさんは神様ですね。俺、最初は嫌な顔のひとつもされるんじゃないかなって思ってたんです。だってこんな人数で19曲もレコーディングするわけじゃないですか? しかもそれぞれいろんな注文をしたりするわけで。なのにそういうのも全部笑顔でやってくれて。
KIKUMARU 俺すごいモチベーション上がりましたよ。だってレコーディング中に、ツボイさんが俺らの仲間が作った曲でめっちゃノッてるんですよ(笑)。「ラップヤバいね〜」とか言ってくれて、「あっ、俺ヤバいんだ!?」みたいな。
GOTTZ 本当だよね。ツボイさんは常に俺らの気持ちをアゲてくれるんですよ。まず、ちょっとした音の感じも今までやってきたものと全然違うからアガるし、最近のUSヒップホップのことも詳しいからそういう話でもアガるし、ツボイさんが俺らに「それいいと思いますよ」とか言ってくれるとアガるし(笑)。
BSC マジでサガるとこなかったです。
(KIKUMARU)
クリエイティブが連鎖した
レコーディング
KANDYTOWNのやり方とは「俺らにとって地元で遊ぶことは、曲作りをすること」。遊びの延長戦、もしくはライフスタイルそのもの。制作時はクリエティブな連鎖が繰り返し起こっていたとメンバーは話す。
KIKUMARU みんなラップしたい曲があったら勝手に書き始めてるんですよ。曲に対して「こういう考えで書こう」とかは一切の話しもせずに。早いもん勝ちみたいな(笑)。
BSC ビートメーカーが作ってきたトラックをみんなに聴かせるミーティングがあったんですけど、俺なんかはその時点で「このトラック、ヤベー!」ってリリック書き始めてたりしてました(笑)。
GOTTZ 最初はNeetzやMIKIが作ってきた7〜8曲がまずあって、そこから作り始めたんですよ。ある程度そろった段階からアルバム用にさらにトラックが追加された感じ。俺はRyohuくんがいつ動き出すのか楽しみにしてて、最初に持ってきたのが「Ain’t No Holding Back」のトラックでした。
KIKUMARU Ryohuがあのトラックを持ってきたとき、(アルバムの他の曲と比べて)全然違う感じの曲だなって思いましたね。
GOTTZ 最初に聴いたときは、まだ骨組みとなるビートのループしかできてなかったんだけど、その時点ですごく面白かったから俺は参加することにしたんです。でもリリック書くのがめっちゃ大変で。最初仮で録ってたラップとかも全部変えて、レコーディング当日に半分フリースタイルくらいのテンションでやりました。このポイントにこのワードを入れるってことだけ決めて、あとはノリで。
Ryohu みんながやってるのを見たら「俺もなんかトラック作りたい」と思って。今まで録ってきた曲を聴いて、「(アルバムに)こういう曲があるといいんじゃない?」って俺から提案した曲ですね。お弁当のウィンナーというか。メインディッシュではないけど、欠かせないものになればいいのかなって。……やっぱごま塩くらいかな。ウィンナーは言いすぎました(笑)。
GOTTZ でも俺らは本当にいつも通りのことを普通にやってるだけなんですよ。例えば、BSCがレコーディングしてるヴァースに触発されて俺もその場でリリックを書いたりもして。
KIKUMARU そうそう。できたばかりのビートをスタジオで聴かせてもらって、だれかがすぐにリリックを書いて録ったりね。俺らは16人もいるから、それが当たり前だと思ってます。
(BSC)
「みんなが良いって言う方が正解」
ってことは分かってた
大所帯クルーでは、メンバーのエゴが原因で活動が停滞してしまったり、レコーディング中に険悪なムードが漂ったりすると聞くが……ましてや若くてモチベーションの高いラッパーたちがこれだけそろえば、彼らの交通整理も必要になってくるはずでは?
KIKUMARU いや全然。超スムーズだったと思うな。大変なことは特に感じなかった。
GOTTZ そうだね。俺はレコーディングのときに「こういう感じがいいんじゃない?」とかメンバーに言ってもらえたことでやりやすくなりましたね。悩んだら周りにいた仲間に気楽に相談する感じでしたよ。
KIKUMARU スタジオにたくさん人が居れたのが良かったよね。今まではレコーディングする人しか入れないような小さいとこで録ってたんですよ。でも今回はひとりが録ってる間、最大8人くらい居られるような場所だったから、いろんな意見が聞けたし、自分も言えた。
Ryohu 意見がぶつかることもなかったね。
BSC 「みんなが良いって言う方が正解」ってことは分かってたし。
GOTTZ だから本当にみんなで作り上げた作品という感じがしてます。
(左からKIKUMARU、BSC、GOTTZ、Ryohu)
フッドの仲間たちに
ヤバいと思わせたくてやってる
様々な要因がプラスに働いて完成した1stアルバム「KANDYTOWN」。今まで外に向けたアプローチをほとんどしてこなかった彼らが、まるで正反対とも言える環境である、メジャーのレコード会社とともに作品を制作したことをどのように感じたのだろうか?
BSC 今まで自分たちじゃできなかったぐらい広げてもらえることですね。俺らは至らないとこばかりだけど、いつもいい雰囲気でやらせてもらえてて。本当に感謝しかないですね。
KIKUMARU 宣伝の力はデカいです。あと俺らのやりたいようにやらせてもらってるのもいいです。今までいろんなことをやってきたけど、「メジャーだからできない」みたいなことはなかったんですよ。
Ryohu メジャーから出すメリットかぁ。そうだな、俺はハクがついたっていうのが一番かな。「KANDYTOWNがメジャーから出る」って言葉ですね。雑誌の表紙になることを目指してるようなヤツらにすれば、「KANDYTOWN、すげぇ」ってなると思うし。でも、実際俺らがやってることは昔とそんなに変わってないんですよ。メジャーから出すことでKANDYTOWNの名前は広まってるけど、俺らはその広い人たちに向けて音楽を作ってるわけじゃなくて、フッドの仲間たちにヤバいと思わせたくてやってるというのは変わらないから。
GOTTZ 俺らは地元のホームボーイたちに向けて歌ってるんだけど、メジャーから出すことでその輪が大きくなったかなって感じますね。最初は地元でみんなと作ってた輪がどんどん大きくなってきてる。俺たちがやってるようなことを「良いじゃん」って思ってくれたキッズが、自分の地元の仲間たちと動きだしてくれたらうれしいですよね。
photography : Nae. Jay E.
撮影協力:BUY ME STAND
【INFORMATION】
KANDYTOWN 5CITY TOUR POWERED BY CARHARTT WIP
前売り¥3,000/当日¥3,500(※オールスタンディング・ドリンクオーダー別)
11/1(火)@東京・SOUND MUSEUM VISION
11/18(金)@福岡・graf
11/19(土)@広島・BACK BEAT
11/22(火)@大阪・心斎橋SUNHALL
11/23(水・祝)@名古屋・club JB'S
■チケット一般販売
販売期間:発売中
プレイガイド情報:
ローソンチケット:http://l-tike.com/(Lコード:72484)
チケットぴあ: http://t.pia.jp/(Pコード:312-775)
イープラス:http://eplus.jp ※枚数制限4枚 ※一般販売分には未発表音源CDは付きません。
■未発表音源CD付き前売りチケット限定追加販売
販売開始日:10月22日(土)
取扱い店舗:東京 :Carhartt WIP Store Tokyo
名古屋:Carhartt WIP Store Nagoya
大阪 :Carhartt WIP Store Osaka
広島 :HYBRYDS
福岡 :Carhartt WIP Store Fukuoka
Carhartt WIP Store info:http://www.carhartt-wip.jp/stores/
HYBRYDS official blog:http://hybryds.blog.so-net.ne.jp/
チケット価格:¥3,000
注意事項:※各店舗への問い合わせはお控えください。
※各店舗取り扱い枚数に限りがございます。