大王対女帝17-同盟転換「外交革命」
2021.03.05 02:59
墺仏露三国同盟は、あくまで秘密だった。しかし密書が三国の間を往復する。ウィーンとペテルスブルクは遠い。その中継地ドレスデンは、ベルリンに近い。ここの墺大使館のヴァイデンガルデンは、買収されてスパイになっており、この密書を写して普王フルードリヒにご注進した。
プロイセン包囲網は着々と進んでいた。1755年サンクトペテルブルク協約で、ジョージ2世のハノーファーが攻撃された場合、ロシアがプロイセンを攻撃することを取り決め、ロシアはハノーファー防衛を名目で兵を移動させる。大王はさすがに慌てるのである。
プロイセンは、イギリスに接近し、56年1月16日、英普中立条約が交わされ、ハノーファーを攻撃しないことを約束した。もうここに至ると、秘密を公にする時間である。プロイセンがイギリスと接近したことで、フランスもプロイセンに義理はないと、同年5月1日、ヴェルサイユ条約で墺仏同盟がお披露目された。
昨日の敵は今日の味方、この同盟は欧州の長年の地政学を変える「外交革命」と呼ばれる。さらにザクセン、スウェーデンまでオーストリア側についていた。マリア・テレジアの外交力恐るべし。哲人王フリードリヒ2世は、またもや自分は平和を願うのにそれも叶わぬと思うのである。
下はヴェルサイユ条約記念メダル