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#100.新入部員のパート決め 3

2021.04.19 21:06

ついに新しいブログ「ラッパの吹き方:Re」をスタートさせて100記事目になりました!

旧ブログ「ラッパの吹き方」では500記事書きましたからまだまだ序の口ですが、それでもひとつの節目に到達できました。ご覧くださっている皆様ありがとうございます。


でも、前々回より話が完結していないのでいつも通り進めます。


現在、吹奏楽部の新入部員の楽器決めのお話をしておりまして、人気のある楽器に集中しないための提案をいくつか出してみました。ぜひそちらの記事もご覧ください。

そして今回ですが、僕が常に疑問に思っている指導者の一方的な「相応しい/相応しくない」の判断基準について、自分なりの考え方とその理由を書いてみます。


まずひとつ目は「フィジカル面」での判断基準です。


[肺活量]

肺活量が多いと率先して金管楽器とか大きい楽器にさせられるという「肺活量で楽器を決める」発想。これは100%間違っています。それに、小中学生の頃というのは成長途中なので肺活量も変化していきます。いや、そもそも管楽器を演奏することと肺活量は大して関係性がありません。

重要なのは肺活量ではなく、呼吸のコントロールです。そのためには呼吸の正しい知識を学び、的確で必要なコントロール方法を身につけることですから、指導者がそのあたりをどれだけ正しく理解し、解説できるかにかかっています。

隙あらば「たくさん吸って、たくさん吐いて」を連呼する指導者であってはならないと思います。ブレストレーニングと称して腹筋運動やマラソンをさせるのは論外です。


[体格]

もはや常套句の「キミは体が大きいからテューバね」には疑問を感じずにはいられません。同様に「キミは体が小さいからこの楽器は無理だね」というのはもっと問題だと思います。そもそも、楽器を決めたその時は小柄だったとしても小中学生はどんどん体が大きくなっていきますから、筋力もついて一年後には無理なく演奏できているかもしれません。

もちろん、小学生で持ち上げることもできないくらい小柄な子にテューバを持たせるのは危険ですから避けたほうが良いのかもしれませんし、大型の木管楽器やコントラバスで指や体が届かずに、全然演奏ができないのであれば、現時点では他の楽器からスタートするなどの配慮は必要かもしれませんが、楽器を構えることはイコール、バランスを見つける行為です。例えばテューバに関して言えば楽器を乗せるスタンドがありますし、トロンボーンやホルンは構えるための左手を安定させる器具がありますから、そうしたものを使うことで解決する可能性は十分にあります。


[唇の厚さ]

指導者の中でトランペットは唇が厚い人は向いていないと、本気で思っている人は未だどのくらいいるのでしょうか。もしいたら、その根拠をお聞かせ願いたい。

当然最も問題なのは「キミは唇が厚いからトランペット向いていない」という根拠なき理由で諦めさせる行為で、唇が厚いことをコンプレックスにさせてしまった可能性と、「自分の唇ではトランペットが吹けないのだ」という失望感を抱かせてしまったこと。これは大変罪深いことだと思います。


ただし、ひとつ言えることは唇が厚い人の中にはセッティングにおいて唇が薄い人にはないワンアクションが必要になる可能性があります。しかしそうした工夫は唇の厚さだけでなく個体差によって誰もが必要とする微調整なので、それが特定の楽器の向き不向きと繋がっていく理由にはならないのです。


[歯並び]

肺活量や唇の厚さとは少し違って、歯並びは演奏に影響する可能性があります。ただこれも、吹けないのではなくて、吹きにくい可能性でしかありません。歯並びは人の数だけ違いますから、こればかりはマウスピースを当ててみなければわかりませんので、やる前から「キミは歯並びが悪いからトランペット向いてないよ」は、先ほどの唇の話同様、絶対に言うべきではありません。


万が一トランペットをスタートし、その後解決することができない理由で本人が苦しむようであれば、他の楽器に変えてみるなどの配慮をとれば良いと思うのですが、「解決することができない理由」が本当に解決できないことなのかを見抜く力が指導者には必要になります。


[歯列矯正]

歯並びを良くするための歯列矯正は、小学生から高校生くらいの間にする人がとても多いです。結論から言って、歯列矯正をした状態でトランペットを演奏することは困難が伴う可能性が高いので、これはおすすめしません。歯列矯正とトランペット演奏の関係については次回の記事で詳しく解説したいと思います。


ということで新入部員の担当楽器を決める話、もう少し続きます。どうぞお付き合いください。

それではまた来週!



荻原明(おぎわらあきら)


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