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YOKO KURAHASHI

13回目の換毛期 vol.50 ~みーちゃんのイタズラ~

2021.03.05 14:00

作/チームCOL

ボクは、13歳になった。


小学生たちが、グラウンドで
運動会の練習をしてるのを
ながめながら、日向ぼっこ。


のどかだなぁ~。


みーちゃんが、背中の毛を
ブラッシングしてるあいだ、ボクは
気持ち良くウトウトしていた。


チクッ……


顔を上げると、みーちゃんは
ブラシをほっぽり出して、スポスポ
抜ける毛量に、「うわ、すごっ!」と
つぶやきながら、無心に
ボクの毛をむしっていた。


柴犬はね、茶色い毛の下に、白くて
やわらかい綿毛が生えてるんだ。

その綿毛が、この時期ごっそり
抜けるのが、楽しいみたい。


だけど、こうもむしられると……


イタッ!


思わず、みーちゃんの手を
鼻でつつく。


「ごめん、ごめん!」


申し訳なさそうに
あやまるんだけど……


「だってさ、
 すごい抜けるんだもん。
 ほら、見て見て」


大量の毛を自慢気に見せてくる。
そして、ボクの毛で大きな
まーるい球をつくると、
ニヤッと笑った。


え、、なにするの……?


みーちゃんのイタズラで、
ボクの頭のうえに乗っけられた
毛の球は、しばらくすると、
風になびいて地面に落ちた。


そのまるい球っころが、
あっちへ行き、こっちへ行きと、
妙な動きをするもんだから、
目で追っているうちに、
自分の毛だということも忘れて、
気づいたら、毛の球に
食らいついていた。


カプッ!
カプカプッ!


うまく噛めなくて、ムキになって
両脚でおさえこもうと
格闘していると……


「はっちゃん、
 それ自分だよ~、自分!」


みーちゃんが、爆笑している。


そーだった!
ペッペッペッ……


すでに口の中は毛だらけだ。
あわてて吐き出そうとしても、
頭をふっても、ぜんぜん取れない。


ハウ~~~ッ!


こまっているボクを見かねた
みーちゃんが、口の中に指を
つっこんで、舌にからみついた
毛を取ってくれた。