老々介護がますます増加傾向に~「令和元年・国民生活基礎調査」解説
◆「高齢者のみ世帯」の割合は?
令和元年6月時点で日本の総世帯数は、約5,178万世帯で、そのうち、65歳以上の高齢者がいる世帯は約2,558万世帯となり、全世帯の49.4%を占めています。 高齢者のいる世帯のうち、単身が737万、夫婦のみが694万で、これを合わせた1,431万の「高齢者のみ世帯」は全世帯の27.6%となります。要するに、日本の世帯の約半分が「高齢者のいる世帯」で、4世帯に1世帯が「高齢者だけで暮らしている」状況にあるということです。(「高齢者のみ世帯」の男女比は、男性35%、女性65%となっています。)
人口で見てみると、65歳以上の人口は、約3,763万人。そのうち単身で暮らしている高齢者が737万人、夫婦だけで暮らしている高齢者は1,521万人で、合わせて2,258万人となりますから、高齢者の約6割が「高齢者だけで暮らしている」ということになります。
今、日本は全世帯の4分の1が「高齢者のみ世帯」になっています。そして、高齢者全体の約6割が「高齢者のみ世帯」に暮らし、高齢者の5人に1人が「独り暮らし」です。この数値は、これからも徐々に上がっていくと予想されており、単身または夫婦のみで自宅で暮らしている高齢者の安心・安全をどう担保していくのかが今後の大きな課題になります。
◆高齢者の経済状況は、どうなっているか?
全世帯平均
・世帯当たり平均収入:552万3千円
・一人当たり平均収入:222万3千円
60~69歳の世帯
・世帯当たり平均収入:566万円
・一人当たり平均収入:239万5千円
70歳以上の世帯
・世帯当たり平均収入:394万6千円
・一人当たり平均収入:190万1千円
60~69歳では、全世帯の平均をわずかに上回りましたが、70歳以上になると、世帯収入でも、一人当たり収入でも、全世帯平均を大きく下回っています。(ちなみに、高齢者世帯では、収入が年金または恩給のみの世帯が約半数を占めます。)
しかしながら、生活意識を尋ねた質問に対して、「生活が苦しい」「やや苦しい」と答えた人の合計は、全世帯で54.4%、高齢者世帯で51.7%となっており、平成28年調査のそれぞれ56.5%、52.0%と比較して、わずかに減少しました。
◆老々介護が、ますます増加している。
要支援・要介護の認定を受けている人がいる世帯は、「高齢の単身世帯」の28.3%、「高齢の夫婦のみ世帯」の22.2%となっています。
そのうち、「要介護3以上」の方がいるのは、単身世帯の18.4%(「単身の高齢者世帯」全体の約5%)、夫婦のみの世帯の25.5%(「高齢の夫婦のみ世帯」全体の約6%)にとなりました。
人数で言えば、単身世帯の約38万人、夫婦のみ世帯の約39万人、合わせて78万人が、「要介護3以上」でも、特別養護老人ホームなどの施設に入居できずに自宅で生活している状況にあることが分かります。 自宅で要介護者を看ている主な介護者は、同居親族(配偶者、子供など)が54.4%(平成28年は58.7%)、訪問介護等の事業者が12.1%(平成28年は13%)で、いずれもやや低下しました。
主な介護者の性別は男性35%、女性65%。年齢的では60歳以上の介護者が男性で72.4%、女性73.8%と高い比率となっており、老々介護の実態がよくわかる結果となっています。
さらに、ほとんど終日介護せざるを得ない介護者の女性の比率は、平成28年の72.5%から、本調査では72.7%と横ばいですが、その内訳をみると「子供および子供の配偶者」の比率が減少する一方で、「妻」の比率が35.7%から40.9%に上昇しており、子供や子の配偶者に頼る事が出来ず、妻に介護を頼らざるを得ないケースが増加しています。
今後、単身または夫婦のみの高齢者世帯が増加していくのは確実で、これにどのように対応してくかが重要な課題となります。