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サメとゾンビと空伏空人

感染家族

2021.03.06 18:06

 韓国のゾンビ映画と言えば、続編がめっちゃ普通のゾンビパンデミック以後のゾンビパニックものになっていて、続編とは一体なんなのかを考える必要がある『新感染 ファイナルエクスプレス』であるけれども、『感染家族』こと本作では、ゾンビについて説明するとき、『新感染』の予告を流す。あっちでも人気らしい。

 違法の実験を繰り返していた研究所から逃げだしたゾンビが、ド田舎のガソリンスタンドに侵入。そこの親父に噛みついてしまった。しかし、親父はゾンビになるのではなく、むしろ若返ったように元気になってしまった! 親父から口伝てに元気になる秘術として「ゾンビに噛まれる」ことが流行りだしたものの、やはり「ゾンビに噛まれたらゾンビになる」というルールは健在で……。

 という風に、前半の「噛まれたら若返って健康的になれるゾンビ」というパートと、ものの見事に「必要か……?」となる普通に普通のゾンビパニックが発生して籠城して脱出する後半パートで評価が分かれる映画である。後半はマジで普通っていうか、前半の「噛まれたら健康的になる」という話から、普通に感染パニックになるので、独自性をなにひとつ生かせていないというか、自ら捨ててしまっている。

 感染の流れも「即ゾンビになる人」がいたり、「若返ったように健康的になってからゾンビに変貌していく人」がいたり、なんだかこう、『噛まれたら健康的になれるゾンビ』というネタと『イケメンゾンビと人間女の恋愛』というネタの組み合わせまでは思いついたけれども、その起承転結の承転が全然思いつかなかった。みたいな残念さがにじむ映画だ。『イケメンゾンビと人間女の恋愛』にいたっては、『イケメンゾンビ』に理性と知性がない描写をしているわりには、人間女にたいしてのイベント発生時のみ急に理性と知性を獲得し、すぐ喪失するあやふやさがあって、もう少しうまくやってほしかったな。となる映画だった。

 ただ、ラストシーンはまあまあ好きだったので、途中は流し見しながらでもいいので観てもいいんじゃあないっすか? っていう、まあ、そんな映画。