Clubhouseでの中華圏の人々の交流は有益な試み
黄 文葦
Clubhouse(クラブハウス)とは、Alpha Exploration Co.が開発している2020年開始の招待制音声チャットソーシャルネットワークアプリケーション。中国では、短い期間中に生きていたのが、2月8日の夜、Clubhouseに浸っていた多くの中国のユーザーが、突然サーバーに接続できないことが判明した。
数日のうちに、大陸・台湾・香港らのユーザーたちは、Clubhouseに群がっていて、一晩中「敏感な話題」を議論しまくっていた。 わずか数日の間に、Clubhouseは偶然にも中国語世界で「大討論」を開催してしまった。大陸・台湾・香港のネチズンがClubhouseを通じて「新疆の部屋」と「台湾海峡の部屋」やそれら類するネット討論の空間はほぼ毎日のように盛り上がり、数千人が深夜までネット上で議論していた。
おそらく、中華圏でのClubhouseは、短命だったかもしれないが、政治的見解、地域社会、政治問題を超えたメガコミュニティの交流を生み出した。 人気のあるトピックは、一つは「両岸関係の部屋」であり、すなわち中国本土と台湾の関係だ。当初は数十人しかいなかったが、あっという間に最大人数の5000人にまで増え、Facebookでも海峡横断的な交流の声が上がった。これらの議論は、バラエティに富んでいた。どちらかというと、議論の内容は、個人的な話の共有が中心になった。
一部の大陸ユーザーからは、台湾海峡の両側の人々が自由に平等にコミュニケーションできるプラットフォームは久しぶりだとの声もあった。しかし、ユーザーの中には、今回の交流を通じて、「台湾海峡の両側にいる人たちは、お互いのことをほとんど知らないんだな」と実感したという意見もある。
ほかの人気のあるトピックは「新疆」「天安門事件」「中国」などがある。1週間も経たないうちに、Clubhouseの「中国語部屋」では中国の政治がすぐに話題になり、4,000人から5,000人もの人が集まることもあった。大陸、香港、台湾からの参加者は、2~10分程度のセッションで自由に自分の経験や意見を述べていた。
議論は抽象的なイデオロギーに押し込められることが多い。例えば、「完璧な政治体制」があるのか、欧米諸国の「民主主義の問題」があるのか、本当の意味での「言論の自由」があるのかどうか。 台湾や香港のユーザーの中には、大陸の人は「真実の情報」を見ることができないという声がある一方で、「外のメディアは偏っている」「中国のニュースをもっと読んでほしい、中国を実際に訪れてほしい」という大陸ユーザーの反応もある。
今回のようなClubhouseでの中華圏の人々の交流は短いが、有益な試みであった。それらの議論は中国政府に脅威を与えるものではなかったとみられる。実は、中国の一部のネチズンは、政府への抱擁の声を大きく上げている。
どちらか正しいかどうか、別として、今までこのような有意義な情報と意見交換の堂々巡りの機会は稀有で貴重だ。残念ながら中国ではわずか8日間でClubhouseのドアが閉じられた。いずれにしても、これまで外の世界と交流する機会のなかった中国の若者たちは、大きな刺激を受けるはずだ。
中国では、ネット規制を突破して海外のサイトなどにアクセスすることを「翻牆」(壁を乗り越える)という。壁のないネットの自由交流空間にて、参加者が平等に尊重されていて、多元的な対話と傾聴の中で、コンセンサスを求めることは素晴らしい。そして、言論自由の壁をなくすよう、と中国に言論の開放を期待せざるを得ない。