ゴシックの図像学〈下〉 (中世の図像体系)本無料ダウンロード
2020.12.03 09:42
ゴシックの図像学〈下〉 (中世の図像体系)
本, エミール マール
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ゴシックの図像学〈下〉 (中世の図像体系)本無料ダウンロード - 内容(「BOOK」データベースより)中世においては世界は象徴として理解されていた…「世界の形姿」である大聖堂を解読する!図像が語る芸術の神学。内容(「MARC」データベースより)中世において世界は象徴として理解されていた…。"世界の形姿"であるゴシックの大聖堂を解説した著の完訳。96年刊「ロマネスクの図像学」の続編。
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中世ヨーロッパ美術の図像学研究に於いて、多大な功績を残したエミール・マールの名著。本書は、13世紀に書かれたヴァンサン・ド・ボーヴェ『鏡』に即して論じられているが、この下巻は「歴史の鏡」の後半、並びに結論を以って幕を閉じている。さて、上巻に収録された「歴史の鏡」の「旧約聖書」「福音書」に続き、下巻で取り上げるのは「旧約聖書と新約聖書に関連する様々な伝承」「聖人と黄金伝説」「古典古代―世俗の歴史」「世の終わりー『黙示録』『最後の審判』」である。上巻と同様、著名な彫刻やステンドグラスを紹介しながら丁寧に図像を読み解いて行くので、大聖堂に表されたキリスト教の教え、更には当時の世界観や宇宙観等、壮大な世界を堪能する事が出来るのではなかろうか。因みに、下巻では「歴史の鏡」に大半が費やされているが、成程、大聖堂を飾る図像の中でも、取り分けキリストの生涯、若しくはキリストの教えの歴史、或いはこれに纏わる使徒や聖人の伝説が最も重要な位置を占めるようだ。例えば、本書では「聖母の戴冠」の表現の変化を追う事に依って、12世紀に芽生え13世紀に花開いた“聖母崇拝”の実情を詳らかにしているし、聖ゲオルギウスとペルセウス、聖クリストフォロスとヘラクレスの対比に着目したりもしている。更には、クロヴィス、シャルルマーニュ、十字軍の功績を取り上げながら、教会に描かれる資格があったのは“キリストの戦士”のみであり、如何なる歴史的大事件も如何なる権力者も、単にそれだけでは「神の家」に入る事は出来ない…というのがフランスの価値観であった事を指摘している点には大いに納得させられたように思う。だが、個人的に興味深かったのは、やはり何と言っても“世の終わり”である。この世の終わりを芸術家達は如何に表現したのか…。中世を通して一貫して見られる“地獄の口”には「ヨブ記」のレヴィアタン(リヴァイアサンといった方が解り易いかもしれない)の影響が色濃く残っている。然しながら、その一方で、芸術家達は単にテキストに忠実なだけではなく、時には神学者達の教えに沿い、そして時にはその解釈を無視しながら巧みに表現したのだ。こうして作られた数々の物語は、見る者の心をより一層搔き立てたであろう…ゴシック美術の最高峰とも言える素晴らしい図像は、敬虔なる信仰心と豊かな創造力のもとで生み出されたのである。因みに、最終章の結論については、ここで内容を明かしてしまう訳にはいかないが、シャルトルを筆頭に、アミアン、ノートル・ダム(パリ)、ブールジュ、ラン、ランス、リヨンの特色を列挙した上で、改めて、こうした個性に着目するよりも総体を見るように促している。何故なら、各大聖堂にはそれぞれの特色はあるものの、それらを「中世」という大きな目で捉える事に依って、浮かび上がって来る事実があるからだ。正しく、ゴシック美術の集大成を語り尽くした名著として、上・下巻共にお勧めしたいと思う。尤も、本書で言及するのはフランスのみであり「フランスの大聖堂ほど多くを語るものはない」とまで言い切っている事から、フランス以外のゴシック美術に目を向けている読者にとってはやや難点が残ってしまうかもしれない。然しながら、対象をフランスのみに絞っていても尚、本書が一つの指針となってくれる事は間違いなく、得るものは大きい筈だ。ゴシック美術を見る目を養い、且つ、限りなく多くの知識を与えてくれる名著。本書に出遭えた事を、ただ純粋に幸せだと思う。
de エミール マール
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