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電子ブック酒の夜語り (光文社文庫)無料ダウンロード

2020.12.01 20:34

酒の夜語り (光文社文庫)

strong>本, 井上 雅彦


電子ブック酒の夜語り (光文社文庫)無料ダウンロード

によって 井上 雅彦

4.8 5つ星のうち4 人の読者

ファイル名 : 酒の夜語り-光文社文庫.pdf

ファイルサイズ : 28.81 MB

内容(「BOOK」データベースより)23人の名手が醸した銘酒・綺酒・魔酒!全編新作書下ろし。

酒の夜語り (光文社文庫)を読んだ後、読者のコメントの下に見つけるでしょう。 参考までにご検討ください。

今回のテーマはお酒です。いつもは尖った感じの作品とおっとりした古典的な作品が7:3または6:4くらいの気がするのですが、なぜだか今回はおっとりものが多いです。物語に起承転結があるとすれば、”承”の部分がかなり長くて、いったいいつオチがあるのか?と思っていたら突然意外な結末が、という感じの作品が目につきました。つい先日読んだ「恐怖症」が神経症的にキリキリするようなものが多かったので、テーマが変わるとこんなに作風が変わるものかとちょっとびっくりしました。今回はアイデアが偶然かぶってしまったものがあり、おいしい酒には死体がしこまれているというのが3つ。そしてアル中になってしまった脳が見た奇怪なお話がいくつか。お酒の種類はスコッチ・ウィスキーから中国の白酒、フランスのアブサン、お菓子のボンボンに入っているお酒、マムシ酒から、コルンというめずらしいドイツのスピリッツまで様々。特に気に入ったのはナチス占領時のパリを舞台にした吉川良太郎「苦艾(にがよもぎ)の繭」。神経そして精神を侵す毒ということで禁止されてしまった本物のアブサン、自身も半ば中毒になりながらアブサンを求める密造酒仲買人と思い出の少女、そしてホムンクルス(人造人間)の物語。草上仁「秘伝」、フィリピンのスモークマウンテンを思わせるような巨大なゴミ捨て場に住む貧困層と、その上を専用ヘリで飛び回る富裕層の実業家、近未来らしい日本を舞台にして、その2つの別世界を繋ぐトグロという秘伝の名酒、その酒は実はゴミ捨て場の一族に代々伝わる秘伝の酒だったのだが・・・オチも世界観もすばらしいです。そしてあとひとつは、異形コレクション唯一のドキュメンタリーだという中島らも「頭にゅるにゅる」。厳密に言えばホラー、テラー小説ではまったくありませんが、その迫力と毒気にやられます。中島らも氏はアルコール中毒で、体を壊して早世されてしまいました。いかにも酒テーマにふさわしい作家さんです。私自身、お酒には強い方ですがそれでも限界というものはあり、二日酔いの後はまったく飲みたいという気が起こりません。アル中の人は体はおかしくなっているのに、どうして延々と飲み続けられるのだろうと思っていましたが、この小説を読んでその凄まじさがよくわかりました。白目がまっ黄色に、尿かコーラ色に、便が真っ白になっても飲み続けるという・・・すごいです(^^;。そしてここにほぼ実名で登場する傲慢な大御所作家は明らかに渡○○一氏で、噂は聞いていましたが、やっぱりそういう人だったのだと出版界の裏側を見るようで興味深かったです。自分もお酒が好きな方ので、共感できること、考えさせられることなどいろいろあり、なかなかおもしろい作品集でした。