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人々の暮らしに寄り添う、お寺本来の姿を取り戻す@兵庫県姫路市(2019年9月~現在)

2021.06.08 01:59

overview

懇意にする横内敏人建築設計事務所の紹介で、姫路にある圓修山妙行寺のお上人に初めてお会いしたのは、2019年9月のことでした。同寺が姫路市阿保地区に飛地境内が区画整理のため移設することになり、その設計を横内事務所が、施工を西嶋工務店が担っていました。設計計画が順調に進む一方で、お上人や副住職(当時)の中には、「妙行寺の飛地境内を改めて建てることが未来に資するのか」という思いもありました。かつては境内で子どもたちが遊び周り、近隣住民の憩いの場であったお寺は、今や墓守・葬祭関連に機能が限られ、檀家や地域との関係性も希薄になる傾向があります。飛地境内の建て替えを機に、今一度自分たちのあり方を見つめなおしたい。そんな想いを受け、小さな広場に声がかかりました。

step1

妙行寺の飛地境内の建設予定地である姫路市阿保地区はJR東姫路駅から徒歩圏内で、新しい家が立ち並ぶ開発地区でした。妙行寺の皆さんをはじめプロジェクトメンバー全員で対話を重ねる中で、地域の人が気軽に立ち寄れる場所として飛地境内を成立させるためにも、暮らしに寄り添う付加価値が必要だと考えた我々は、同地区にお住いの方々の家族構成や年齢をデータ面から整理しつつ近隣の方々に声をかけお話を聞かせていただいたり、視察を重ねて場の理解を深め、いくつかの提案を行いました。

step2

提案を重ねる中で、妙行寺自体の在り方と向き合う機会が必然と増え「飛地境内の在り方を考える前に妙行寺自体の見直しをするべきなのではないか?」という声が上がりました。熟慮の結果「いずれ阿保の飛地境内のことは協議する必要がるが、まずは妙行寺から着手しましょう」と住職が決断し、検討の舞台は姫路城にほど近い寺町にある妙行寺になりました。同地には、本堂のみならず、今は使用頻度の低い仏教文化研究室四明洞文庫や庫裡、前庭、東天山會館という付帯施設もあります。これら全体を、より地域に資する場にすべく、どのような機能・役割を持たせるか、提案を続けました。

現在

22年11月のお披露目を目指し、計画は現在も進行中です。プロジェクトメンバーには新たに造園の担当として大北美松園の大北望さんや、食空間のアドバイザーとしてTrattoria piccola sicilia(姫路市安田)のオーナーシェフ山本豪一さん、アートディレクターとしてKami-Goyaの前田英利さんなどが加わりました。わいわいがやがや、プロジェクトメンバーの夢実現に向けた話し合いやトライアル的な試みが続いています。