スタバで「店内でお召し上がりですか」と言われなかった話
あれは去年の今頃だったか。
スタバに行った時に「おっ」とひそかに感心したのが、
バリスタが注文を取った後の一言。
普通の飲食店なら「店内でお召し上がりですか?」と言われるわけですが、
そのスタバでは、 「店内でお召し上がりですか?」ではなく、
「店内でおすごしですか?」と聞かれたのです。
- 店内でお召し上がりですか?
- 店内でおすごしですか?
同じようなものだが、ちょっと違う言葉。
スターバックスにとって、どちらの言葉遣いが「最適」か。
皆さんはどう思うでしょうか?
前者の「店内でお召し上がりですか?」の場合、
スターバックスが提供しているのは「コーヒー」。
だから、この言葉遣いは決して誤りではないとは思います。
私たちはスタバに行けばコーヒーを注文して、
そのコーヒーに見合ったお金を払うわけですからね。
しかし、後者の「店内でおすごしですか?」の場合、
スターバックスが提供しているのは、単なる「コーヒー」ではなくて、
「コーヒーとともに過ごしている時間」ということになります。
私たちは確かにコーヒーを買うわけですが、
多くの場合、コーヒーを飲みたくてスタバに行くというよりも、
友達とゆっくり話したかったり、授業の時間までにレポートを作りたかったり、
タンブラーに入れて持ち帰ることで、オフィスで少しホッとしたかったり・・・
コーヒーをきっかけにして、「いろいろな時間」を過ごしたいというのが
より根本的なニーズになっているのです。
そのことを理解しているからこそ、スターバックスの店内は
- くつろぎやすいソファのある席
- 集中しやすい壁際のカウンター席(コンセント付き)
- 周囲に声が響きすぎない高めの天井
色々な点にこだわりが行き届いています。
そして、冒頭で紹介した
「店内でおすごしですか?」という言葉もまた、
それらのこだわりの一端を担っています。
そして、こういったこだわりから、私たちが学ぶべきものがあります。
私がプレゼンテーションを学んでいるときによく指導されたのが、
「最適な言葉を選ぶ」というものでした。
最適、ということは「これ以上に適する言葉がない」ということです。
だから
他店と同じ「店内でお召し上がりですか?」で本当に良いのか?
それ以上にいい言葉遣いは本当にないのか?
そういうことを常に問い続けることになります。
そしてしばしば、プレゼンにおけるキラーワードやキーフレーズのみならず、
さりげない言葉遣いの中に、こだわりは見え隠れするものなのです。