卒業おめでとうの言葉の代わりに。
「卒業式って覚えてますか?」
たまに生徒にそう訊かれるのだけれど、全然覚えていない。
念の為言っておくけれど、歳のせいというわけじゃない。多分卒業した翌年に訊かれても答えは同じになると思う。暗記が苦手というのはあるかもしれない。
中学生活も高校生活も大学生活も大いに楽しかったけれど、卒業式で悲しくなった記憶はない。泣いた覚えもない。
「薄情なやつだな」とか「冷たい人」と思われていたかもしれないけれど、卒業のその日には、次の生活に向けてのワクワクで頭がいっぱいだった気がする。もちろん、友人や先生や家族に感謝はしていた。今もしている。「卒業かぁ、悲しいなぁ」と思う人がほとんどかもしれないけれど、中には一人ぐらいこんな人がいてもいいよね。
卒業の悲しみを知ったのは、大人になってからだ。塾で働くようになって、「卒業って悲しいなぁ」としみじみ思うようになった。
それまで毎日のように会っていた生徒たちとの別れ。彼らのワクワクするような成長や日々の一端を見ることができなくなる寂しさ。
だけど、やっぱりそこには大きなワクワク感もある。君たちの未来には、とてつもなくキラキラした可能性が広がっているからね。
今がもしも「これ以上ない!」なんて思えるとびきり素敵な毎日だとしても、安心して欲しい。君たちの未来は、まだまだどんどん楽しくなる。そりゃいいことばかりなはずはないけど、まだまだ人生、こんなもんじゃない。想像もしていなかった素晴らしい日々が、君の元にやってくるからね。
今よりずっと成長して、日々を楽しむあなたと、いつか会えるのを楽しみにしています。
卒業ももちろんおめでとうだけど、新しい一歩を踏み出すあなたに、心からおめでとう。
さぁ、また、ここから。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
そして、やっぱり、卒業おめでとう。