はげましのペロペロ vol.51 ~お返しは強めのぐりぐり~
2021.03.12 08:00
作/チームCOL
「う~~ん。これじゃあ、
お話にならないよ」
「はい……。すみません……」
ママが、いつになく厳しい表情で、
みーちゃんを叱ってる。
「もう一回、書き直し!
もうこれで何回目かなあ」
ママはそう言いながら、
仕事部屋にもどっていった。
リビングに残されたみーちゃんの
肩が、小さくふるえてる。
ボクは、そっとみーちゃんの
そばに近寄った。
「わたし、この仕事
向いてないのかも……」
下を向いて「ウッウッ」って
泣いているみーちゃんの背中を
見てたら、ボクも胸がギューッと
しめつけられて、いてもたっても
いられなくなった。
みーちゃん、元気出して……。
みーちゃんのひざを鼻で
ツンツンしてみたけど、
みーちゃんの目からは、
涙があふれてる。
みーちゃん、泣かないで。
だいじょうぶだよ、元気出して。
いつもがんばってるの、
ボク、知ってるよ。
必死でみーちゃんのひざを
ペロペロなめた。
「はち……?」
ボクの鼻先に、みーちゃんの
手が伸びてきた。
ボクは、その手のひらを、
一生懸命、何度も何度もなめた。
「はっちゃん……、もしかして、
わたしのこと、
はげましてくれてるの?」
涙でぬれた顔をようやくあげて、
おどろいたようにボクを見た。
うん。みーちゃんが悲しいと、
ボクも悲しいんだよ。
ペロペロ、ペロペロペロ……
「はちぃ……、ありがとぉ。
ふふ、くすぐったい。
わかった、わかったよ~」
みーちゃんは、鼻をチーンとかむと
ボクに抱きついてきた。
「もー、はちってば、
ありがと、ありがとー!!」
みーちゃんが、笑顔で
ボクの頭をぐりぐりなでる。
あー、よかった。
いつものみーちゃんだ。
でも、イテテテ……。
みーちゃんて、けっこう
ちから、強いんだよな~