2021/3/9【本紹介⑯】彼女たちの年齢革命(一田憲子氏)
一田憲子さんの著書、”彼女たちの年齢革命”(主婦と生活社)。
年2回”暮らしのおへそ”(主婦と生活社)の発行
や様々なライフスタイルにまつわる本を書かれてきた一田さん。
本書は、そんな彼女が40歳を過ぎた頃の10年以上前に発行されたもの。
(今のように、働く女性が当たり前ではなかった時代背景もあるが)文体や世界観が、一田さんの今の文章が「いろり」のような、ほっこりしたものに対し、クールでシャープな感じがした。
(以下、本書「はじめに」より抜粋。)
人生のピークを過ぎて、年を重ねていく時、
人は枯れていくしかないのだろうか。
体力や肌のツヤが下降線をたどるように、
人生という道も細くなっていくのだろうか。
そんな問いへの答えをくれるのは、フードコーディネーターやスタイリスト、工芸家さんなど、美しく歳を重ねてきた10人の女性。
彼女達へのインタビューを拝読し、
まさにアラフォーの今の私だからこそ、響く言葉が沢山あった。
(※以下、本書より抜粋)
①2つの時計を持って生きると、人はへこたれなくなる。
仕事をする自分と母親の自分。そこには2つの時間が流れている。仕事の価値観は、母親業では通用しない。いい母親になることで、仕事に差し障りが出ることもある。綱渡りのように、2つの時間を行ったり来たりする中で、1本では折れてしまう枝が、2本束ねると折れないように、人生が太くなっていくのではないだろうか。
大切なのは、2つの時計を手にすることだけではなく、それぞれの時計の刻む音を聞き逃さないように、耳を傾け続けることなのかもしれない。
何も、「仕事▼子育て」だけでなく、私達の
身の回りを取り巻く、一見背反するように見える
2つの世界。
(※下記は、ドイツにいた事書いたエッセイ↓)
▼【ESSAY #4】 「時間に追われる国」と「時間に追われない国」 ムーミン女子が気づいたこと
どちらかが優れている、というわけではない。
2つの世界にきちんと耳をすませ、今自分はどちらのルールに則るべきか、を考えること。
それが、自分をより強く、しなやかにしてくれるのかもしれない。
(※以下、本書より一部抜粋)
②今と向き合う力 。
人生は重ねてきた経験を鏡にして、自分をつくり上げていくもの。大切なのは、計画通りに進むことではなく、その時々の経験を自分の糧にする力、起こった事によって自分を柔軟に変えることができる力。あるがままをよしとせよ。
今に集中すること。
足るを知り、計画や目標を絶対視しすぎず、
状況に応じて、自分を臨機応変に変えていく。
今をマイナスでなく、ゼロと捉えること。
そんな瞬間の積み重ねが、振り返ると、
美しく年を重ねる道しるべとなっていくのだ。
3つ目は、谷川俊太郎さんの詩と共に。
(※以下、本書より一部抜粋)
③自分のことを説明しない。
つい頑張った分だけ、人にわかってほしいと思いう。結果だけでなく、そのプロセスまでも。
でも、一旦口をつぐんでみてはどうだろう。言葉で説明しないことは、嘘偽りの行動じゃないと伝わらない。「黙る」ことで初めて、人は自分と真剣に向き合おうとするのかもしれない。
多すぎることばはさわがしい
こころの底の静けさがことばのふるさと
(谷川俊太郎著「すこやかに おだやかに しなやかに」)
言葉より、行動が示すもの。
「沈黙」の中にこそ、確かな真実がある。
自分だけでなく、他者とも向き合う時に。
言葉に頼らない事を意識してみよう、と思う。
最後に、「あとがき」。
年を重ねることは、何かを失うことではなく、何かを得ること。
2年後、40歳を迎えるにあたり、
そんな素敵な年齢革命を起こせる準備をしていきたいな、と思う。
(※同じく一田さんの著書)