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ZIPANG TOKIO 2020「700年以上を神に捧げ神と舞う!奥三河の伝統芸能【花祭】国指定重要無形民俗文化財 第一話 東栄町・小林の花祭 」

2016.11.01 15:00


毎年11月から3月にかけて東栄町、設楽町、豊根村の計15カ所で催される「花祭」。11月は、東栄町と豊根村の7カ所。国の重要無形民俗文化財にも指定されている「花祭」は、悪霊を払い除け、神人和合、五穀豊穣、無病息災を祈る目的で鎌倉時代から代々親から子、子から孫へと大切に伝承されてきた神事です。およそ40種類にもおよぶ舞が夜を徹して行われ、町外からもたくさんのファンが訪れ舞手と一体となって「て~ほへ、てほへ」の掛け声とともに全員で盛り上がります。


「花祭」とは

「テーホヘ、テホヘ」と、夜を徹して繰り広げられる花祭は、鎌倉時代末期から室町時代にかけて、熊野の山伏や加賀白山の聖によってこの地に伝えられたといわれています。  「冬至」の前後、太陽の力の復活を願って行われる「霜月神楽」の一種とされるこの祭りは、天竜川水系に今も伝わる神事芸能で700年以上にわたって継承されています。  当初は湯立てと清め中心の祭りだったと考えられますが、伊勢神楽や諏訪神楽なども取り入れながら、土地の人たちによって育まれ、約400年ほど前に現在に近い形態になったようです。  そのころは大神楽といって、七日七夜もかけて130番もの舞が盛大に行われ莫大な資金と労力が必要で、金100両、白米100俵が備蓄され、更に不足に備えて神楽林も保有していました。  数地区が一緒になって、7年目や20年目という間隔で行われていましたが、大行事のため七日七夜にわたる大神楽を省略・集大成し一日一夜の祭りとして完成されたのが現在の花祭であるといわれています。  大神楽がなぜ花祭になったのかは多くの人が持つ疑問であり、「花」の語源についても10前後の説があります。  祭りは花宿の清めから始まり、神迎え、湯立て、宮人の舞、青年の舞、稚児の舞、鬼の舞、禰宜や巫女・翁などの神々の祝福、少年の舞、湯で清める湯ばやし、神返しまで休む事なく、ほぼ一昼夜をかけておこなわれます。  八百万の神々を勧請し、諸願成就、厄難除け、生まれ清まりを祈願するこの祭りは、昭和51年に国の重要無形民俗文化財に指定され、毎年11月から3月上旬にかけて、郡内15ヵ所の地区で盛大に開催されます。

奥三河地方の各地域で行なわれる伝統芸能「花祭」を何話に分け紹介いたします。

第一話は「小林の花祭」

 
開催地

【小林の花祭り】


東栄町内11地区で伝承されている花祭には「振草系」、「大入系」、「大河内系」の3つの系統があると言われ、小林の花祭は「大河内系」の唯一の花祭といわれています。  「振草系」8地区と「大入系」2地区はそれぞれ同じ系統で舞や神事がよく似ていますが、小林は舞の所作や神事などが、他の系統の花祭とかなり異なっていて、小林でしか見られないものもあります。舞は少し他より拍子が速く、所作も素朴で、歌ぐらや、笛の音色にも独特の郷愁を覚えます。  小林ではその昔、2つの派にわかれて同じ村の中の2カ所で花祭を行っていた時期があり、榊鬼、山見鬼、茂吉鬼など役鬼がそれぞれに舞われていたため、1つに戻った今でも鬼の舞が他地区よりも多く演じられています。  小林の花祭にご来場いただき、ご献銭を奉納していただくと、お礼として、五穀豊穣や無病息災を祈願した「お礼」と、小林花祭の鬼面などのデザインした手拭いなどをさしあげます。  また会場ではお酒も振る舞われます。仮眠所も用意してありますので、安心してお出かけください。  茂吉鬼が祓い落とす「蜂の巣」の中に入れる「祓い銭」は、昔は12文(うる年は13文)となっていましたが、現在では金額は特に決められていませんが、1円から100円までいろいろな硬貨がいれてありますので皆さんも是非1年の福を手に入れてください。


花祭の知っておきたい知識


舞庭(まいど)

花祭は舞庭と呼ばれる、四隅に柱が立てられた3m四方の土間で行われ、中央に大きな釜を据えて湯をわかし、天井には湯蓋(ゆぶた)、四方に「ざぜち」と呼ばれる切り紙の飾りをつるします。  この舞庭で、祓い清めの儀式から、地固めの舞、鬼の舞、三つ舞、四つ舞、湯ばやしなどの激しい舞が夜を徹して行われます。


湯蓋(ゆぶた)

舞庭の中央釜の真上に飾られる方形の天蓋状のもので、白紙又は五色の紙が使われ、神々の宿る所とされ、所により違いがあります。  色々な祭具の組み合わせにより構成され、びゃっけと神道又は千道で結ばれます。



ざぜち

石州紙に絵型(4種)、字型(7種)を切り抜いたもので、神座、舞庭の五方につるします。 駒形から始まり、方位や季節を司る神々の名が決められた順に舞庭中央に向けて飾られます。


 「神事」

瀧垢離 瀧を祓い清め、湯立てに用いる神聖な「お瀧の水」を迎えます。(禊の意味をもちます) 歓請 神部屋にて、花太夫と宮人によって行われます。 祝詞を上げ、太鼓に合わせて鈴を鳴らします。 神寄せ 神々を請じ入れる儀式。 幣束や祭道具の一切を「天」へ祀り込みます。 天の祭り 舞庭に隣接する神社の「天」へ神を勧請する儀式。 辻固め 花宿の庭に弊を立て、祭場を区画し、地上の諸霊を祀り悪霊の侵入を防ぐ儀式。 〆下し 本来は注蓮を張り渡す儀式と考えられています。 四天行い 太夫が釜の前で護身法を行い、刀を用いて舞庭の五方を清めます。 釜祓い 釜を祓う儀式で、この時初めて竈に火が入れられます。

 「舞」

楽の舞(がくのまい)

三拍子の笛に合わせて太夫が太鼓の撥を手に舞います。


式(さんぐう)

花太夫と宮人が釜に向かって神座に座り、太鼓の膜と縁を交互に打ち唄います。


順の舞(じゅんのまい)

宮人が白衣を着て鈴と扇子を持ち、1人から4人まで順次舞を行います。


地固めの舞 扇の手

青年の2人の舞で、扇・ヤチ・剣の採り物で舞庭を踏み固める意味があります。

地固めの舞 ヤチの手

青年の2人の舞で、扇・ヤチ・剣の採り物で舞庭を踏み固める意味があります。


地固めの舞 剣の手(つるぎのて)

青年の2人の舞で、扇・ヤチ・剣の採り物で舞庭を踏み固める意味があります。

山鬼

最初に登場する鬼で、山を割り、生命の再生を図り、生まれ清まりの重要な役割を担う鬼です。 舞庭中央に据えられた竈に鉞を振り、山を割る所作をします。

花の舞 扇の手

3~4歳位から参加します。 手に花笠を持って舞うことから花笠の舞ともいいます。 花の舞は、扇・盆と年々成長とともに持ち物を変え舞うことになります。


榊鬼

最も重要視されている鬼で、地区の人達は「榊様」と呼んでいます。 反閇を踏み、大地に新しい生命力や活力を吹き込む鬼です。 又、問答も榊鬼の特徴です。


花の舞 ちゃっつの手

3~4歳位から参加します。 手に花笠を持って舞うことから花笠の舞ともいいます。 花の舞は、扇・盆と年々成長とともに持ち物を変え舞うことになります。


中下り鬼

盆と鈴を持ち、山鬼と同じ舞式で舞います。 中下家で寄進したとも言い伝えがあります。


三ツ舞 扇の手

少年3人の舞。 扇・ヤチ・剣の採り物で、花の舞を舞い上げた子供たちが次々に取り組む舞で、内容も高度なものとなります。


中王鬼(ちゅうおうおに)

採り物・舞式全て山鬼と同じです。 中屋家で寄進したとも言い伝えがある、般若の面です。


三ツ舞 ヤチの手

少年3人の舞。 扇・ヤチ・剣の採り物で、花の舞を舞い上げた子供たちが次々に取り組む舞で、内容も高度なものとなります。


三ツ舞 剣の手(つるぎのて)

少年3人の舞。 扇・ヤチ・剣の採り物で、花の舞を舞い上げた子供たちが次々に取り組む舞で、内容も高度なものとなります。

鳳来寺鬼

衣装・採り物・舞式すべて「中下り鬼」と同じです。 鳳来寺鬼の面をつけて舞います。 


村栗竜王鬼(むらくりりゆうおう)

採り物・舞式全て中下り鬼と同じです。 村栗龍王の面をつけて舞います。 村栗家で寄進したとも言い伝えがあります。


火の禰宜(ひのねぎ)

祢宣の面をかぶり、ひの祢宣幣と鈴を持ち舞います。 改め役の祢宣との問答があり、身そぎの祓などが含まれています。

巫女の舞

 神子・おかめ・ひょっとこなどによる仮面の舞で、五幣餅や、すりこぎ・しゃもじを手に、村人たちを祝福するために舞庭に現れます。 ご飯や味噌の塗られるとその年は縁起がよいと言われてます。


女郎囃子

神子迎えとして、五平餅や味噌の付いた摺子木を持つ「しおふき」「ひょっとこ」、飯粒の付いた杓子を持つ「おかめ」が出て舞います。


太郎坊鬼(たろうぼうおに)

衣装・採り物・舞式すべて「中下り鬼」と同じです。 太郎坊鬼の面をつけて舞います。


翁の舞(おきなのまい)

翁面をかぶり、翁幣と鈴を持ち舞います。 改め役の祢宣との問答があります。 生まれ在所、生い立ち、婿入りなど滑稽なやりとりは、観衆が合いの手を入れながらからかい、賑わいます。


四ツ舞 扇の手

青年4人で舞い、時間も長く複雑な所作が含まれ、体力と洗練された技術が必要とされます。 採り物は、扇・ヤチ・剣であるが、扇の舞は最初に上着を採りものとします。


次郎坊鬼(じろうぼうおに)

衣装・採り物・舞式すべて「中下り鬼」と同じです。 次郎坊鬼の面をつけて舞います。


四ツ舞 剣の手(つるぎのて)

青年4人で舞い、時間も長く複雑な所作が含まれ、体力と洗練された技術が必要とされます。 採り物は、扇・ヤチ・剣であるが、扇の舞は最初に上着を採りものとします。


茂吉の鬼 

最後の鬼で、湯蓋につるされた蜂の巣(お宝)を槌で払い落とす所作がありますが、縁起物として観衆はこれを奪い合います。 蜂の巣の中身は、祓い銭と五色紙の細片です。 


湯ばやし

最も軽快なテンポの舞で、少年4人が湯たぶさ(藁を束ねて作ったタワシ)を持ち、舞の終わり頃、舞庭を清めるように、竈の湯をところ構わず振りかけます。 この湯を浴びると病にかからないと歓迎されています。


獅子

 竈祓いの獅子、清めの獅子とも言われ、花祭の最後の舞です。 舞庭を這うように舞い清めます。


「神事」

湯立て 竈祓いをした後、お瀧の水を入れて湯を沸かし湯祓いをし、勧請した諸神に献じ祈祷する儀式。 花そだて 花太夫、宮人が神座にて囲炉裏を囲んで座り、一本箸で粥を食します。 宮渡り 氏神を元の宮へ返す儀式。 神返し 勧請した神仏を返す儀式。 外道狩り 花太夫と宮人3人が「山の神祭文」を唱え、神返し供え物膳と半紙を引き裂いて撒き散らし、二拍手をして終わります。 鎮め 花太夫が榊鬼の面を用いて、数々の作法により荒らぶる神々を鎮める儀式。


開催日時と場所 日時: 11月第2土曜日~日曜日 午前7時~翌午前0時 場所: 小林諏訪神社 愛知県 北設楽郡東栄町 振草字小林仙登 日程・場所・開始時刻などは年ごとに異なる場合がありますので、
事前に教育委員会(電話 0536-76-0501)までお問い合わせください。


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