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災害時の新幹線

2021.03.10 09:45

1.はじめに

 みなさんこんにちは。中2の**です。今回は災害時の鉄道について調べました。最後までお読みいただければ幸いです。

2.現在の災害対策と過去にあった事故

 ここでは現在の新幹線の災害対策や過去にあった事故を紹介していきます。

(1)大雨や強風など荒れた天気の時

A.対策

 新幹線では、それぞれこのような基準をつけています。それぞれJR各社が運行する路線の地質や特性から判断して決めています。

●東海道新幹線は、60mm/時間以上で運休

●山陽新幹線では、55mm/時間以上で運休

●九州新幹線では、100mm/時間以上で運休

 JR東日本の新幹線は2008年より「実効雨量」基準を採用しており、他社の時雨量方式とは違います。土壌の水分量から割り出して安全かどうかを判断するというものなので、JRの発表次第ですが、他の新幹線の目安とは大きくは違いません。

 強風では全国の各新幹線は運行の基準が統一されています。

●風速20m/秒以上で段階的に徐行運転

●25m/秒以上で運転見合わせまたは徐行

●30m/秒以上で運休

 在来線は25m/秒以上で運転見合わせとなるケースがほとんどなのに対して、新幹線は徐行します。

B.過去に起こった事故

 新幹線で事故はありませんでしたが、他の路線を見ると色々な事故がありました。1978年2月28日、営団地下鉄(現:東京メトロ)東西線の葛西駅~南砂町駅間の荒川鉄橋を時速約90kmで走行中の下り電車が、突然の強風にあおられ後部3両が脱線し、うち最後部の2両が上り線に横転、23人が負傷しました。このことにより東西線はほかの路線よりも風に弱いといわれています。

 また、2016年8月22日には台風9号による大雨の影響で、東京都東村山市で西武多摩湖線の地盤が緩み、上り電車が脱線したほか架線柱2本が電車に倒れかかりました。


風に弱いといわれている東京メトロ東西線。  写真は15000系


土砂崩れの被害にあった西武多摩湖線。   写真は101系


(2)地震が発生したとき

A.対策

 JR東日本の新幹線では、地震計を沿線や海岸・内陸の135箇所に設置しております。地震の主要動(S波)より先に到着する初期微動(P波)を検知することで、より早く列車を停止させる仕組みとして、新幹線早期地震検知システムを導入しています。新潟県中越地震のあと、2006年度までに、次の4点についてシステムの改良を行いました。

●地震規模等の推定方式の変更

●地震規模にあわせた範囲の送電停止機能の追加

●沿線地震計を合計85箇所に設置

●運転規制の判断指標の変更

 ちなみに在来線では、新幹線早期地震検知システムからの情報と、気象庁の緊急地震速報をそれぞれ活用して、必要な区間の列車を緊急停止させるシステムを導入しています。首都圏については2007年12月に使用を開始し、その他の全線区についても、2009年4月から使用を開始しています。

 JR東海では大規模な地震に備え、各種構造物の耐震補強を実施するとともに、地震発生時、速やかに列車を停止させるためのシステムを導入しています。

 また、JR各社は阪神淡路大震災以降、地震の被害状況や国土交通省の指導等を踏まえ、高架橋柱等の耐震補強を積極的かつ計画的に実施してきています。架橋柱の耐震補強は、地震時に高架橋の柱が大きな損害を受けるのを防止するために、柱を鋼板で巻くなどの補強を行うものです。


JR東日本は新潟県中越地震以来システムを改良している。写真はE233系


JR東海は各種構造物の耐震補強を実施している。写真は313系

B.過去に起こった事故

 2004年10月23日の新潟県中越地震発生時に、上越新幹線長岡駅まで7.8kmの地点にさしかかっていた200系の下り「とき325号」は10両編成のうち6、7号車を除く8両が脱線し、最後尾の1号車は車輪とレールが最大1.4mずれ、右側の車輪は上り線路との間にある溝に落ちました。車体は30度近く傾いていました。脱線した車輪によって路盤は東京寄りに約1.6kmにわたり損傷していました。そのうち900mでは固定装置が壊れ、レールが外れていました。

 また九州新幹線では、2016年4月14日に、直下型地震の熊本地震で、回送中であった800系が時速約80kmで走行中、停車できずに6両編成の全車が脱線しました。脱線現場以外でも高架などに損傷が見つかりました。


200系は旅客運用時に脱線したことがある   写真提供:部員


試運転中に脱線した九州新幹線   写真は800系

(3)大雪の時

A.対策

 新幹線は特に雪が苦手です。高速走行する新幹線が巻き起こす風で、線路に積もった雪が舞い上がり、車両床下や台車に着雪します。これが次第に大きくなって雪塊となり、落下した際の衝撃で線路のバラストが飛散し、車両の窓ガラスを破損させることがわかっています。このため、新幹線は降雪時に減速運転を余儀なくされることになりました。

 東海道新幹線ではスプリンクラーによる散水で雪の舞い上がりを防ぐという方策が取られました。水を巻くことで雪質が濡れ雪となり、舞い上がりを防ぐことができます。

 米原・関ヶ原地区では営業運転終了後の深夜にラッセル車による除雪作業を実施しています。2003年からはロータリーブラシ車による除雪も行うようになりました。

 北海道新幹線では、冬は氷点下という厳しい環境のため、北陸や上越、東北新幹線で実績がある融雪用のスプリンクラーは水が凍るためほとんど使えず、高架橋に独自の冬対策設備を導入しました。ポイント部分にはJR北海道の在来線で使われている「エアジェット式除雪装置」を、新幹線で初採用しました。

 また、東北新幹線、山形新幹線、秋田新幹線、北海道新幹線、上越新幹線、北陸新幹線のすべての車両にスノープラウがついています。


E3系(上)とE5系(下)はどちらもスノープラウを設置している

B.過去に起こった事故

 雪の事故といえばこれを思いつく人が多いと思います。

 2014年2月15日深夜に東横線元住吉駅にて、Y500系と5050系が衝突しました。これは後続の5050系が制限速度内の時速79kmで走行しており、624m手前で非常ブレーキをかけましたがブレーキパッドに雪がついて停車できず、先行のY500系に接近し、時速35km前後で衝突したというものです。


事故に巻き込まれたY500系(上)と5050系(下)

3.改善すべき点と改善案

(1)大雨や強風など荒れた天気の時

 東海道新幹線や東北新幹線では柱などの強化をしていますが、地方の秋田新幹線や山形新幹線ではあまり整備ができておらず、秋田新幹線では土砂災害も発生しました。沿線に水田や河川もあるので、これについては在来線とともに柵などで線路を守ると良いと思います。

(2)地震の時

 新幹線早期地震検知システムは直下型地震には対応しにくく、新潟県中越地震や熊本地震で新幹線が脱線してしまいました。

 JRは、この事故の調査報告書で「列車が震源の近くで大きな地震に遭遇した場合、脱線を完全に防ぐことは困難だ」としています。そのうえで、事故調査委員会は脱線防止ガードや逸脱防止装置の必要性を指摘しています。現在、東海道新幹線や九州新幹線では、レールの間に脱線防止ガードを設置しています。

 JR九州によると、脱線防止ガードを取り付けているのは、熊本駅の北にある2つの断層の周辺10kmと鹿児島県内の1つの断層の周辺14kmです。全線は256kmなので、その9%です。

 当時、脱線した場所に脱輪防止ガードはついていませんでした。そのため、この区間も含め、脱輪防止ガードを早めに多くの区間で設置すると良いと思います。

 東海道と九州以外の新幹線は、脱線防止ガードは採用していません。その代わり、仮に脱線した場合でも、車両が大きく線路からはずれないようにする「逸脱防止装置」を設置しています。逸脱防止装置は車両に取り付けたガイドが線路に引っ掛かるようにして逸脱を防ぎます。

 脱線防止ガードも、逸脱防止装置も、レール側に特別な設備を取り付けることが必要です。逸脱防止装置のレール側の対策がどれくらい完了しているのか、新幹線ごとに示したのが次の図です。


 このように北海道新幹線ではほとんどの場所でレールの対策がとれていますが、上越新幹線や東北新幹線ではまだあまりレールの対策がとれていません。費用はかかりますがこのままにしておくわけにもいきません。地震による脱線を防ぐためにもなるべく早く多くの区間で設置するのが妥当だと思います。

(3)大雪の時

 東海道新幹線では、スプリンクラーにも課題があります。米原・関ヶ原地区の線路は盛り土構造となっています。そのため、大量に散水すると豪雨と同じ状態となり、路盤に悪影響を与えるリスクがあります。試行錯誤の末、散水量を1時間あたり5mm程度に抑えるのが適切、というかなり制限された結果が出てしまいました。

 また、ラッセル車は、大きな排雪板がレールにダメージを与えることのないよう、レールに触れない範囲で除雪するので、レール上面に雪が10cm程度残ってしまいます。

 そのため、東海道新幹線に直通する車両にスノープラウを設置するといいと思います。

 また、東北新幹線や上越新幹線の車両の中には一部のE2 系やE4系とまだ下枠交差式パンタグラフの車両が残っています。下枠交差式パンタグラフは降った雪が積もりやすく、重さがかかりますが、シングルアームパンタグラフは雪が積もりにくいです。E4系は置き換えられますがE2系に関してはまだ運行されるので、パンタグラフをシングルアーム化または新型に置き換えると良いと思います。


E2系(左)の一部とE4系(右)は今も下枠交差式パンタグラフを設置している

4.終わりに

 今回の研究はいかがでしたか?

 今回はほかの人と比べると短い文章でしたが、自分にとってはまだ長いほうだと思っています。

 日本は地震も多く、気象災害の影響も受けやすいので、それぞれの鉄道会社が多くの対策をしていくのが重要だと思っています。東京オリンピックもあと2年半ほどなので、鉄道の災害での事故が無くなることを願っています。

 最後までご覧くださいましてありがとうございました。


5.参考サイト

・乗客は駅まで歩いて避難 大雨で西武多摩湖線が脱線 - テレ朝News

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000081847.html

・究極の安全を目指して>地震対策:JR東日本

https://www.jreast.co.jp/safe/jishin.html

・特集ワイド 熊本地震で脱線 新幹線「安全神話」の死角

https://mainichi.jp/articles/20160518/dde/012/040/003000c

・「新幹線の脱線対策は十分か」(時論公論) - NHKオンライン

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/243134.html

・秋田新幹線、線路脇が60メートル崩落 豪雨被害|朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASK7R6VQVK7RUTIL026.html

・雪と氷を吹き飛ばす…厳冬対策で独自の新技術 開業まで1年、北海道新幹線|産経ニュース

http://www.sankei.com/economy/news/150325/ecn1503250012-n1.html

・東横線元住吉駅構内における列車衝突事故を受けた、降雪期の安全輸送確保の取り組みについて|東急電鉄

http://www.tokyu.co.jp/company/news/list/Pid=2182.html


おことわり:Web公開のため一部表現を変更させていただきました

研究当時と現在の状況が異なる場合があります。